金色のトイレだかソープだか

新棚のい/HCCMONO

金色のトイレだかソープだか

 眩しい。薄目を開くと金色に輝く便器と金色に輝く壁や床が見える。ここはおちょぼ稲荷の串カツ屋のトイレか。串カツ食って帰るか。

 しかし見渡してもドアがない。天井を見上げる。やっぱり金色だ。通気口が見当たらない。それどころか照明も見当たらない。にも関わらず金色の便器は光り輝いている。

 脱出しなくては。壁面の弱い部分を探すべくしらみつぶしに壁をノックする。駄目だ。どこにも弱そうな部分はない。

「無駄ですよ。ここはあなたとわたしが二人で〇〇しないと出られない世界ですから」

 振り返ると彼女が微笑んでいる。見てはいけない部分だけ辛うじて金色の刺繍で隠れたスケスケランジェリー姿。ほとんど裸だ。

「〇〇ってまさか……」

 さすがにその行為を口にするのにためらってしまう。童貞には恥ずかしすぎる。彼女は頬を赤らめた。

「ええ、〇〇です。わたしたちは〇〇をしなくてはなりません。〇〇は本来愛し合う者たちが行う行為です。しかし、状況が状況ですからやむを得ません。〇〇を共に行いましょう」

 ごくりと唾を呑み込む。彼女はその場にしゃがみ込み、どこからか取り出した金色の洗面器で透明な粘液を練り始めた。いつの間にか右側には金色の浴槽、左側に金色のエアマットが現れた。これ知ってる。FANZAで見た。となると、ついに童貞卒業するのか。ドキドキしながら彼女を見下ろす。彼女は何かを口ずさんでいる。

「縺�s縺薙�繧翫�繧翫ゅ�繧翫�繧翫≧繧薙■縲ゅ≧繧薙%縺カ繧翫�繧翫ゅ�繧翫�繧翫≧繧薙■縲�。あなたも唱えてください」

「文字化けしてるんだけど」

「変換ツールを用いて唱えてください。縺�s縺薙�繧翫�繧翫ゅ�繧翫�繧翫≧繧薙■縲ゅ≧繧薙%縺カ繧翫�繧翫ゅ�繧翫�繧翫≧繧薙■縲�……分からないのであれば、せめて一緒に練ってください」

 彼女と共にひたすら粘液を練っていると正露丸のラッパのメロディが鳴った。

「開きましたね」

 彼女は脇目も振らずに開いた壁の向こうに進んでいった。

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