花と詩

釣ール

記録

 紫の花弁に、灰色の身体。

 二足歩行は比較的人間に近い。


 カムベルは数多くの植物達とたいとうな関係を結ぶ記録者だった。


 咲くことに必然性も感じず、特別性もない。

 誰かの消費にされぬよう、植物達の一生をそうだいな物語にしたくないからこれまでの見聞けんぶんを改めて校正する。


 胡蝶蘭こちょうらん様の上でつづる記録は筆が乗るのだ。


 これまで誰とどのように話をして、いつもどんな反応をしていたのだろう。


 カムベルはアジサイ様、キクラゲ様、タンポポ様達の異国録いこくろくを食い気味で質問をしながら聞き入ってた過去を思い出し顔を赤らめる。


 植物も照れることはある。

 生物なのだから。


 だからといってあえて主張はしない。

 それでも植物達はカムベルを通して記録し、読んだ強者きょうしゃに手を取ってもらうことを画策かくさくする。


 復讐ふくしゅうであり、植物達の願いでもある。

 たとえ踏みにじられたとしてもカムベルは記録する。


 それが生きるということ。

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花と詩 釣ール @pixixy1O

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