第14話

シャーナは死んだ。


私の愛する娘の魂は死んでしまった。


でも、不思議だ。




このシャーナの肉体はまだ死んでない。




そうか。


シャーナのお母さんであるこの私の魂は…


シャーナの肉体に宿ったのだ。


私はシャーナの肉体を宿主として、この世界に再び転生したのだ。




でも、どうやって転生できた…?


シャーナの肉体は何故死ななかった…?




ううん。


違うよね?シャーナ。


そんなことはどうだって良いよね?


貴女は望んでいる。


復讐を。


この魔物を殺すことを望んでいる。




これから、私はこの世界で復讐を実行する。


私の愛する娘を殺したこの魔物の命を奪うために、私はもう一度この世界で戦ってやる。




この世界の不条理と何度だって戦って見せる!




だから見ていて!シャーナ!!




貴女の肉体の何処かに!きっと貴女はいるから!!


(……………)


『何故生きている…?心臓を突いたはずだぞ…!?』




その魔物は驚きながらも、そう言った。


醜い。


シャーナの命を奪った醜い魔物め。




残念だが、私はシャーナではない。


見た目はシャーナでも、中身と魔力と強さは別物だ。


転生した影響で以前より指数関数的に強くなった私の力では、お前を一瞬で塵にすることができる。






でも、それじゃあ、何も面白くないよね?


だから、私は一つゲームをしようと思う。




『なあ?下賤なる魔物よ。お前と一つゲームをしよう』


『は?乗るわけ…!………え……?』


私は斬撃魔法で奴の両腕を切り飛ばした。


『私に一つ魔法を放ってみろ。それで傷一つつけれたらお前を見逃してやる』






『ああ!やってやる!!…で。お前は誰だ?……グア!!』


私はまた斬撃魔法で奴の左足を切り落とした。


『無駄話は無しだ。やれ。下賤なる魔物よ』




その魔物は私に爆裂魔法を放つ。


もちろん、私はその瞬間、彼の友達のメアリーちゃんや、学長先生に怪我をさせないように距離を空けた。




そして、奴の爆裂魔法が炸裂した。




しかし、転生によって、魔力の核心を知った私の敵ではない。


私は奴の爆裂魔法によって傷一つ負うことはなかった。






『では、お返しだ。燃焼系爆裂魔法"メラ・エクスプローナム"』




そして、奴を圧倒的な焔と爆発の渦が襲う。


奴は苦しみながら、助けを求めた。


しかし、誰も助けるわけがなかった。


程なくして、その魔物は絶命した。






すると、メアリーちゃんが私に聞いた。


『貴女はシャーナ…さん?』


『ごめんね。私はシャーナではないんだ…メアリーちゃん。順を追って説明するから聞いてくれる?』


メアリーちゃんが頷いた。


また、学長先生も頷いた。






私は学長先生には感謝している。


おかげで、エデンの夢を阻止できるかもしれない。


それはとても嬉しいことだ。


この世界にとって、大きな一歩となるだろう。




でも。


その先に、シャーナはいない。






確かに、私はメアリーちゃんを恨んでいる。


何故なら、メアリーちゃんが早くシャーナに真実を告げたら、きっとシャーナは死ななかった。




でも、それは…きっとシャーナの母親への気持ちを考えてしまったからだと思う。


それに…シャーナはメアリーちゃんを友達だときっと思っている。




だから、私はメアリーちゃんを苦しめるようなことはできない。




だから…










そんなことを考えていたら、メアリーちゃんが私に震えながら聞いてきた。


『貴女は…もしかして、お母さんですか?私の国の伝承に伝わる転生の力で…シャーナさんの肉体を救ってくれて…ありがとうございます』




私は頷いた。


すると…


メアリーちゃんの顔がぐしゃぐしゃになり、その場に倒れ込んだ。


そして、メアリーちゃんは土下座した。


『ごめんなさい!!ごめんなさい!!私のせいで!!シャーナさんは死んでしまった!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!』




私は彼女を許した。


何故なら、彼女はシャーナの友達だから。


私が許さなかったら、きっとシャーナは悲しむから。


すると、メアリーは『ありがとうございます!!ありがとうございます!!』って何度も言った。




きっと、メアリーちゃんは私が死んだと知った日からずっと苦しんでいたのだろう。


どうやってシャーナに告げたら良いのかって。




だから、もう良いの。


苦しまなくて。


私は微笑んだ。


そして、言った。


『貴女の友達は…シャーナはまだきっと死んでない』


『え…?』


『シャーナの肉体が生きている以上、この肉体の何処かにシャーナはいる。だから、一緒に探そう?そして、シャーナを生き返らせよう…ね?』


『シャーナさんのお母さんは…そしたら…』


『貴女は優しいのね。…私は良いの。シャーナの魂が見つかったら、この肉体はシャーナに返すよ』




すると、メアリーちゃんはようやく微笑んでくれた。

『はい!一緒に探しましょう!!シャーナさんの魂を!!』







良い忘れてだけど、これは私の魔女の守り人としての物語でもあり…私の娘に再びこの世界で笑ってもらう為の物語でもあるんだ。

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魔女の守り人 @ts5430

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