見世物の首なし女、眼にはしなくとも狂うものか

悪趣味と言うのは簡単ですが、やはり公開処刑であるだとか、見世物小屋だとかいうものは、どうしても人間の薄暗い欲望を刺激する。そんな中、「首なし女」というとびっきり刺激的な商品があれば、さてどうするか。
容易く道を踏み外した主人公は、やがて坂を転げるように落ちていって……
具体的な作り方も知らないまま、一足飛びに凶行に手を出す心理は、食い詰め者の切羽詰まった状況とも照らし合わせて悲哀がある。彼は、最初から己が長くないと知っていたのかもしれない。