これは神話か?

直感をより先鋭化し、恵まれた社会を得たかに見えた世界。そのテクノロジーへの不安を抱くものたちを導く主人公という設定と、そのネーミングセンスが好きです。聖書世界への呼応ともいうべき、数々の言葉がこの小説を立体的なものにしています。

ストーリーの成り行きはどこか神話的なストーリーが雛形にあるような気がします。
また、こうした世界観はどこか「虐殺器官」「ハーモニー」といった先行作をどことなく想起させます。これが作者のマスターピースではないとは思いますが、素晴らしく、面白いSFを読むなら、まずこれを手に取ってもらいたいですね。