【番外編】2025年面白かった本TOP10

 読書日記をサボりにサボっており、すんません。

 言い訳をさせていただくと、最近Youtubeチャンネルの方でも読書日記を投稿しておりまして、その影響で


 ・読書メーターに感想を投稿

 ・Youtubeに感想を投稿

 ・カクヨムに読書日記を投稿


 と感想をあらゆるところに投稿する感想の化け物になりつつあったんですよね。


 と言っても、実は私は化け物ではなく人間なので、途中から「面倒くさい」という人類史上最も愚かしい感情が去来してしまい、結果的にカクヨムでの読書日記をサボってしまったという次第でございます。





 さて、2025年の読了本総数は読書メーターカウントで57冊。

 読書メーターに登録できない文学フリマ勢も含めると約60冊ほどになります。


 一応、目標は年間100冊ということにしているのですが、時間が有り余っていた学生時代に一度達成できただけで、社会人になってからは現実的に厳しそうです。






 1位:寺場糸「僕はライトノベルの主人公」


 こちら、スニーカー大賞特別賞を受賞し、書籍化された作品。

 なのですが、スニーカー大賞はカクヨムから応募できるというのもあって、応募時点のものをカクヨムで見つけて「すげぇ!」となった一冊。


 2016年からカクヨムを利用している、地味に古参な私ですが、本格的に浸かり始めたのはここ2,3年での話。

 本作はそんな私がカクヨムにハマるきっかけの一つになった作品だったりします。


 というのも、本作はメタフィクション×青春ラブコメという激尖りな作風でして、「Web小説なんてテンプレなろう系しかねえんだろ!(へけっ)(ハム太郎の鳴き声)」と思っていた私は仰天。


「こんな名作が隠れているなんてカクヨムはすごい場所なんじゃないか?」と思い、そこからカクヨム作品を漁ったり、小説執筆を再開したりと、結構な影響を受けていたりします。


 てなわけで、そういった諸々の背景も込みで年間ランキング一位となりました。もちろん、小説自体もめちゃくちゃ好きなので、ぜひ読んでみてほしいです。

 ちなみに、カクヨム版と書籍化版で話の内容がかなり異なっているので、両方読んでみてもいいかも。





 1位:虹乃ノラン「そのハミングは7」

 

 1位が2つあるんですが……

 すみません、この2作品はちょっと順番付けられませんでした……


 こちらはカクヨムコン総合エンタメ部門を受賞されて、見事書籍化された作品。

 カクヨム民なら「カクヨムコンエンタメ総合部門」受賞と聞くだけで「おっ」と思うのではないでしょうか?


 この部門は他のライトノベル系ジャンルと違って「エンタメ総合」というやたら広い区分。

 毎年、応募数が多い割に受賞作はめちゃくちゃ少ない。(というか、今年は確か受賞作なしじゃなかったかな?)

 と、それくらい競争率のすごい部門で受賞するくらい、魅力の詰まった作品です。


 ちなみに、本作もカクヨムコンを受賞する前の時点で見つけてまして「これがWeb小説ってマジ?」とこれまたとんでもない衝撃を受けた一冊でもあります。


 「嘘乙」とお思いの方は、読書日記シリーズの過去記事を見てきて欲しい。

『【スコップレポート】虹乃ノラン さん「そのハミングは7」』って回があるからさ。


 カクヨムでも公開されたままになっているので、一回読んでみてほしい。そして、そのまま書籍化版も買ってほしい。






 3位:野崎まど「小説」


 2025年本屋大賞ノミネート作で、私が野崎まどにハマるきっかけになった一冊。

 今年の本屋大賞ノミネート作の中では一番好き。


 カクヨムの利用者は大抵小説を読んでいるかと思いますが、「なぜ小説を読むのですか?」と聞かれたらなんと答えますか?


「そんなこと言われても……別に理由なんてないよぉ……ふぇぇ(萌え)(成人男性低音ボイス)」となってしまいますよね。


 本作はそんな哲学的とも言える問いに“答え”を導き出してしまうんです。


 “答えなんてない!読書はそれだけで価値があるのだ!”というようなパワー系精神論で逃げてはいません。


 作中で張られた伏線を回収しながら、各要素を集めていき、論理的な流れで“答え”にたどり着く。


 本作は後半、詩のようなパートが挟まるなど、かなり文学的な雰囲気の漂う作品にはなるのですが、この作品の扱うテーマに対する姿勢が「科学的」なおかげで、SFのような読み味になってるんですよね。


 野崎まど節とも言える、絶妙な語感の文章もまた他にはない唯一無二の魅力。


 本作を読めば野崎まど沼にハマること間違いなし!






 4位:東野圭吾「容疑者Xの献身」


 今更⁉という感じですが、これだけ売れてて、有名なのにはやっぱり理由があるんですね。


 当然のように死ぬほど面白いです。もう今更私が何をしゃべることがあるんだ。


 本作は「倒叙ミステリー」という形式で、物語の冒頭で犯行シーンが描かれてしまう。つまり、犯人が誰か分かった状態から物語がスタートするわけですね。


 そんなの楽しめるのか?と内心思っていたのですが、ハチャメチャにおもろい。


 天才同士の頭脳バトルも面白いし、「犯人バレないで~(ペンライトを振りながら)」という普段とは正反対の視点からも楽しめちゃう。


 悪いことは言わんから未読の人は読んだ方がいい。







 5位:朝井リョウ「生殖記」


 朝井リョウ天才定期。


 「正欲」というえげつない名作を書いた朝井リョウが「生殖記」なるタイトルの小説を書けば、何かこうとてつもないものを期待してしまいますが、その期待を上回る一冊でした。


 このタイトルは、本作をしばらく読み進めると意味が分かります。

 かなりシリアスなテーマのはずなのに、この某仕掛けのせいでほんのちょっとファニーな感じになってしまうのがニクイところ。


 性にまつわるマイノリティを描くという点では「正欲」と同じテーマとも言えるのですが、本作はより広範囲の「他者と同じものを共有できない感覚」が描かれているのかなと感じました。


 特に、作中で一つ大きな題材として描かれる「仕事への姿勢」に関しては、当時仕事へのモチベーションの低下やら疑義やらにまみれていた私にぶっ刺さった。


 「そもそも、みんな仕事というものにどれくらい真面目に向き合っているんだ…?」 「会社あるいは社会が大前提としている何かに心から共感できないなぁ…」等々、多数派に属せないと感じたことのある人はぜひ一読してほしい。


 すぐに気持ちが軽くなるという即効性はないかもしれませんが、そういった観念が確かに存在していて、その感覚が描かれた作品がこの世に存在する。という事実があなたの心のほんの支えになるかもしれません。






 6位:岸見一郎,古賀史健「嫌われる勇気」


 胡散臭い自己啓発書の代表的な存在。

 だと、思われがちな本書。


 確かに、この世に存在する自己啓発書の9割は胡散臭いかもしれないが(過言)少なくとも、本書は全然まとも。


 アドラー心理学の本質?を対話形式で分かりやすく解説してくれる一冊です。


 と言ってもぶっちゃけ書かれている内容は「それが出来たら理想だけどさぁ……出来ないから困ってんじゃん……(困ってんじゃん)」と思ってしまうことは否定できない。


 と言っても、この現代社会において「まず、これを目指しましょう」という確固たる目標地点を設定するのは至難の業。

 第一、人生の目標地点を謳っている書籍ってちょっときな臭い気もするよね。


 そんな中で、アドラー心理学の考えは「確かに、ここに到達できれば文句はないだろうな」という納得感がある。


 小説というジャンルは「明確な答え」を与えずに、他者の人生を経験して、自分の人生にほんのちょっと影響を与える、という塩梅が好きなので、「嫌われる勇気」はそれとは真逆のアプローチと言えるかもしれない。


 「間違いなく正しい」とされる一つの到達点をカッチリ示したうえで、「難しいけど、日々一歩ずつ努力してここに近づいていこう」という感じ。


 これまで、自己啓発本というジャンルはあまり肯定的に捉えられていなかったけれど、「ああ、こういうことか」と腑に落ちた。


 ちなみに、社内研修の一環で「7つの習慣」というこれまた、自己啓発本界隈では名著とされる本にも軽く触れていたのですが、7割くらいはアドラー心理学の考えの応用な気がした。

 アドラー心理学という素材を使って、ビジネスマン向けに調理したような印象。


 なので、自己啓発本を読んでみたい人はとりあえず、これ一冊だけ読んでおけばいいんじゃないかな……


 受験の時の参考書も色々買うのではなくて、一冊をやりこむのが重要って言うでしょ。多分、自己啓発本を10冊読む時間があったら、本書をじっくり読みこんだ方がいい気がする。






 7位:君嶋彼方「君の顔では泣けない」


 いわゆる「男女入れ替わりもの」にあたる本作。


 大抵、このジャンルは性別が入れ替わったことによる、あんなことやこんなことをキャッキャウフフと描くことが多いと思われる。


 しかし、冷静になって考えてみてほしい。朝起きたら別人になってるんだぜ?

 死ぬほど怖えでしょ。


 本作は男女入れ替わりものでありがちな楽し気な雰囲気を排して、全体として基本シリアス。


 自分が異性の人間になることによる性差への困惑。自分が他人の人生を歩み、そして元の自分に戻れないかもしれない恐怖。

 そんな感じのことがメインで描かれていく。


 「男女の入れ替わりなんて激アツお色気恋愛イベじゃーん(ニコニコ)」程度に思っていた私は冷や水をぶっかけられ「いや、お願いだから早く戻ってくれよ(真顔)」となってしまった。


 本作で一番刺さったのは「自分の家族に会えなくなる」という、冷静に考えれば当たり前だけど、存外盲点だったところ。


 「自分だけが幽霊になってしまって、家族のことは見えるのに会話はできない」的なやつってよくあるけど、本作はそれよりたちが悪いかもしれない。


 家族の視点からすれば、当人は普通に生きていて、普通に接しているけど、その実、中身は別人。もし、元の体に戻れなかったらこれから先、一生、自分の両親に対して親と子の関係で関わることができない。


 いやー、きついっス……


 最終的に、二人は元の体に戻れたのか?

 気になる結末は君の眼で確認だ!






 8位:三宅香帆「『好き』を言語化する技術」


 感想おじさんとしては、すごく参考になったと同時に、自分が感想を書くとき考えていたことに自信を持てた一冊。


 「自分の感想を書く前に他人の感想を読むんやない!」や「感想は自分だけの体験と絡めるのがミソや!」など、これまで私の考えていたことが本書の中に書かれていて、嬉しかった。

 ちなみに、関西弁は一切出てこない。


 読書の楽しみ方なんて人それぞれだし、「面白かったー!(クソでかボイス)」で全然問題ないわけですが、それでもやっぱり読了後の気持ちを感想にしておくと色々嬉しいことが多い。


 例えば、すんごい小説に食らって放心状態の自分の思考を感想として残しておけば、それを後から見直したとき、その時と同じ気分にもう一度なれるとか。


 あるいは、感想を残しておくことで、当時のメンタルやら背景やらをある種の「記念写真」として保存しておけるとか。


 あと、カクヨムで言えば、作品を読んだ後に応援コメントでもレビューでも残せば、読み手はその作品のことがより強く記憶に残るようになるし、書き手は飛び上がるほど嬉しいのでまさにWin-Win。


 そんな感じで、感想を残すことにはメリットしかないので、皆さんもぜひ本書を読んで、いい感じの感想を書いてみませんか?






 9位:春暮康一「一億年のテレスコープ」


 最近SF界隈でちょっと話題になっていたらしい本作。


 読んでみると、なるほど確かにめっちゃ良い。


 SFと一言で言っても、本当に多種多様だけど、本作の特色を一言で表すなら

「楽観的」

 悪い意味ではなくて、いい意味としてね。


 例えば、異星種族との交流を描くとき、それによって生まれる軋轢や文明衝突が生まれがちだけど、本作は人類の宇宙進出も、異星種族との交流も全て「善いこと」なんだ!という性善説的な雰囲気で満ちている。


 そのおかげで、読んでて軽やかな気持ちになるし、宇宙のロマンを素直に楽しめる。


 そして、そんな性善説的な世界観を採用した理由だと思われる本作のテーマがあるのですが、それを語ってしまうと大ネタバレになってしまうので話せない……

 本作が他のSFとは異なる唯一無二のメッセージ性がそこにあると考えているのですが……悔しいですな……


 SF好きな方はぜひ、手に取って確かめてみてください。






 10位:滝本竜彦「NHKにようこそ」


 2000年代を代表するラノベの一つ?

 知る人ぞ知る一冊?


 ちょっと、本作のポジションは何とも言い難いですが、アニメ化もされてるくらいですからある程度の知名度はあるでしょう。


 私もこの「一定数のマニアがいる」感に惹かれて、令和のこの時代に読了。


 2001年当時のオタク文化における価値観と今の価値観に結構な変化が生まれていたことを再確認した。

 今の時代なら大アウトな描写の多いこと。


 さて、本作はライトノベルでありながら、当時社会問題となっていた「ひきこもり」や「宗教二世」といったセンシティブな題材を扱った、結構攻めた作品。


 バブル崩壊後のくらーい世相が文字からにじみ出ている独特の雰囲気は他からは味わえない。20代で引きこもりとなってしまった主人公の絶望感も相まってね。


 なんだけど、この時代のライトノベル特有のノリやら主人公のヤケ感のおかげで、ドシリアスにはなりきらない。と言っても、空元気っぽさは否定できないけど。


 とまあ、とにかく他の小説にはない奇妙な雰囲気が味の本作なのですが、私が一番刺さったのが主人公と岬ちゃんとの関係性。


 互いに弱さを共有しあう関係性がどこか共依存のようで、癖にぶっ刺さってしまった。

 学生時代に読んでいたら危うくこの小説を崇拝してしまっていたかもしれない。


 そんな感じで、ヒロインとの関係性に「ぐわっーー」となりつつ、年を重ねることの悲しみも本書を読んでいて感じてしまった。


 あと、5年早く本作を読んでいたら、たぶん今回の数百倍は食らっていたという確信があるんですよね。


 まあ、その分、哲学的な作品を楽しめるようになってきてもいますし、人は変わりゆくってことですね。







 ということで、2025年の読了本TOP10でした!


 来年以降のカクヨムでの読書日記の更新は……気が向いたら投稿します……

 一応Youtubeの投稿機能を使った読書日記は更新していく予定です……

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読書日記(時々スコップレポート) 秋田健次郎 @akitakenzirou

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