フォーセット王国_ kingdom of Fawcett



 ——この文献には付箋が挟まれ「再調査の必要あり」と記されている。


 フリンフロンの西に位置する国で国土の西に広がるフロン海には海賊が多く、アークレイリからの商船などが狙われることがある。そのため北のシグル海を渡ってくる商船団は海軍港都市アタバスカに寄港した際にそこまで護衛をしてきたアークレイリ海軍護衛船団と任を引き継ぐ形でフォーセット海軍護衛船団に護衛を任せることになっている。


 よって、フォーセットとアークレイリの国交は深く、有事の時は両国の同盟関係の基、友軍の提供や一時的な国境付近の難民の受け入れなどを行っている。この両国の同盟はフリンフロンやフォルダールにとっては隠れた脅威で、今でこそ侵略戦争が数百年起きていない状態ではあるが、戦役の際はフリンフロンは西側への派兵を余儀なくされ、フォルダールも同じく普段は手薄な北西への派兵を余儀なくされる。

 

 フォーセットは魔導発祥の地として知られ、リードランで行使される治癒系魔導や身体強化の魔導などなど多くの魔導の流派はフォーセットで産み出されている。リードランでの魔導とは、体に宿る生命力を分け与えるような技術で、魔術のような術式は無いが「言の音(ことのね)」と呼ばれる言葉を巧みに発音し自身を一種のトランス状態へ導き、自らの生命力を顕現させることで行使する。


 戦の場においては一定距離の空間を持続的に友軍に有利な効果を発現させるため、効果を望む間、言の音を繋ぎ発音するものがある。この恩恵に預かるためには、首筋など頭部に近い箇所へその術者の発行する独自の紋を描いておく必要がある。


 熟練した魔導師はこの、言の音を発音しながら体を動かし、格闘戦を行うものも居るが数多くは存在しない。また、フォーセットは魔導研究における暗部を孕んでいる。生体実験などが陰で横行し、これの犠牲となったものが、生体エネルギーに負の変換をうけ屍食鬼化してしまう事件が数多く報告されており、リードラン各国でも大きな問題として扱われている。


 魔導は医学に精通することから、これを排除することができず負の連鎖を生み出している。

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Killing Me Softly With His Song_設定篇「セントバ大図書館_書庫」 コネ @kone904

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