グダグダ転じて文学となる傑作

 作者は、作品に対して、ある絵図を持つ。ただ、読者に容易にはそれを読み取らせまいとして、ぐだる。ぐだる方法は様々であるが。ただ、本作のように、会話でそれをなすは、なかなかに難しい。当たり前であるが、作り手は1人である。

 2人の少女の会話は方向感を得難いながら、この年代独特の不安や希望をかもしだす。