その後

「……っ」

「……」

「……ふ……っ」

「……」

「……はぁ……ん」

「……先生……」

「……まっ……ん……」

「……先生」

「……もうダメ。ホントに、ダメ……っ」

「先生」

「……名前……っ……ん」

「……ユキさん」

「はっ……ふ……ぁ……」

「……ユキさん」

「……欲しい……お願い……」

「……」

「……早く、ねえお願い、早くちょうだい?」

「……ユキさん……」

「もう、我慢……できな……っ」


「激辛食べながら喘ぐのやめてよ先生」

「早く牛乳!」

「はいはい」

「……んむ……っはぁ~、辛い」

「だから全部入れはやめときなよって言ったじゃん」

「残したらもったいないでしょ」

「飲んだら体に悪いよ」

「捨てたら環境に悪いの。それにカップ麺食べながら健康のこと気にする奴は二流」

「なんのだよ……。だからって体張らなくても」

「手を出した以上は最後まで責任をもつものよ」

「教え子に手出した人は言うことがちげえや」

「……口をつけた以上は最後まで責任をもつものよ」

「教え子と唇奪った人は言うことがちげえや」

「別れる」

「また一か月記念とかできますね」

「復縁するなんて言ってないし、前もしてもらった覚えないんだけど」

「そういうタイプじゃないって言ったの先生じゃん」

「じゃあ一週間記念とかまめにやるような女がよかった?」

「ユキちゃん先生がしたいならいいよ」

「保育園の先生みたいな呼び方するな」

「ユキ先生ちゃん」

「くだらないことばっかり」

「気を引きたくて頑張りました」

「努力の方向間違えすぎよ」

「結果オーライです」

「減らず口」

「塞げば減りますよ」

「ティッシュでいいかしら」

「資源使うのはもったいないです」

「タオルね」

「洗濯する手間が」

「ガムテープ」

「自慢の髭が」

「剃ってるでしょ」

「あるのとないのどっちがいいです?」

「君はない方が見慣れてる」

「じゃあこのままで」

「……ふう、ごちそうさまでした」

「牛乳いります?」

「お願い」

「…どうぞ」

「ありがと」

「……」

「……なによ」

「いえ、別に」

「そう」

「はい」

「……」

「……」

「……洗い物してくる」

「手伝います」

「コップと箸だけだからいいわよ」

「そうですか」

「ええ」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……終わりました?」

「ええ」

「……」

「すしざんまい?」

「先生ざんまいの要求」

「補習?」

「ユキさんざんまいの要求」

「そ」

「座っていいですよ」

「気が向いたらね」

「いつ頃向きそうで――おうふ」

「……」

「……びっくりしました」

「あなたがいいって言ったのよ」

「あまりにいい匂いだったので」

「嗅ぐな」

「ラーメンの」

「ばか」

「冗談です先生のです」

「うっわ……」

「どのみちかよ」

「だから嗅ぐな」

「離れたら嗅ぎませんよ」

「それは嫌」

「じゃあ俺も無理です」

「重かったらどくわよ」

「重いけどそのままでいいです」

「……」

「いはいれふ」

「なんて言ってるかわからないから続けるわ」

「ありはとうほはいまふ」

「……」

「あれ、続けないんですか」

「喜ぶ変態は構いたくない」

「言ってることわかってるじゃないですか」

「たまたまよ」

「下ネタですか?」

「……」

「ああまってまって降りないでごめんなさい」

「折角お望み通りのことしてあげたのにくだらないことしか言えないの?」

「緊張してるんです」

「そうは見えない」

「興奮してるんです」

「……」

「ああまってまって降りないでごめんなさい」

「露骨よ」

「さりげなくならいいんだ」

「……」

「……」

「……抱きしめるならもっと強く」

「……はい」

「……」

「……」

「……先生の髪素敵ですね」

「……ありがと」

「ながるる黒髪の~ってやつですね」

「『その子二十』を飛ばしたのはアラサーへの嫌味?」

「せっかく飛ばしたんだから拾わないでよ」

「飛ばした方がむしろよ」

「気をつけます」

「ん」

「……先生の髪好きです」

「髪?」

「髪も」

「ん」

「素敵です」

「ありがと」

「……」

「……明日はお休みね」

「シャワー浴びてきます」

「まてそうじゃない」

「『そう』とは?」

「……」

「……」

「……まだ話の途中よ」

「続きはベッドで聞きます」

「今聞きなさい」

「まてません」

「今聞かせるからまたせないわ」

「まてないので後で聞きます」

「……」

「……あ」

「なによ」

「大丈夫ですよ」

「何が」

「ちゃんと買ってあるんで」

「何を」

「そうです」

「……」

「……」

「……」

「じゃお先に」

「おい」

「はいすんません」

「……そうじゃなくて」

「……」

「……」

「……」

「……休み、だから……」

「……」

「……」

「……あー」

「……」

「……どこ行きたいですか」

「……焼肉」

「いきなりご飯の話?」

「いいの」

「まあいいですけど」

「おごり?」

「そういうのは社会人の努めでは」

「女に払わせるんだ」

「昨今そういうスタンスはモテないですよ」

「おごらせる気の男もモテないわよ」

「先生だけいればいいんでモテなくていいです」

「私も君だけいればいいわ」

「……えへ」

「気持ち悪い」

「ありがとうございます」

「バカ」

「ごちそうさまです」

「……」


「お風呂入る」

「えなんで」

「辛いの食べて汗かいたの」

「気にしませんけど」

「私が気にするの」

「今くっついてるのに」

「それはそれ」

「むしろそのままがいいんですけど」

「変態」

「もう一回言ってください」

「……」

「じゃ一緒に入りますか」

「すけべ」

「もっと言ってください」

「……」

「……」

「……」

「……焼肉以外は希望あります?」

「楽しいとこ」

「アウトドア用品店」

「好きだっけ?」

「見てるだけで楽しくないですか?」

「確かにそうね」

「キャンプとかやったことないんですけどね」

「私もよ」

「そのうち行きましょう」

「暖かくなったらね」

「やった」

「次」

「カラオケとか」

「90点未満ごとに罰ゲームね」

「赤点のライン高いです」

「生徒にできない分こういう時は思い切るわ」

「俺も生徒なんですけど」

「元ね」

「今は何ですか?」

「……」

「……」

「……罰ゲーム何にしようかしら」

「歌う曲考えてくださいよ」

「不倫したアーティストのラブソングにしようかしら」

「ひねくれてますね」

「中学生でも思いつきそうな安い歌詞のJ-POPの方がいい?」

「先生の好きな曲がいいです」

「ドギツいヘヴィメタル」

「そういうの聞くんだ」

「冗談よ」

「聞いててもいいけど」

「冗談だってば」

「楽しみですね」

「歌うの好きなの?」

「それもですけど」

「じゃあなに?」

「先生と一緒なので」

「かわいいこというのね」

「なんせ先生のことす――」


「――ん」


「……」

「……」

「…………っ」

「……ふふ」

「……」

「……ん」

「……っは……」

「……ぁ」

「……」

「……」

「……先生」

「名前」

「……ユキちゃん」

「さん」

「ユキちゃんさん」

「もうしてあげない」

「ユキさん」

「ん」

「好きです」



「知ってる」

「ユキさんは?」

「親になんて説明しようって思ってる」

「紹介してくれるんだ」

「いい人いないのかってうるさいのよ、うちの親」

「できれば結婚は経済力つけてからの方がいいんだけど」

「そんなの期待してないからいい」

「してよ」

「しない」

「……」

「……今は」

「……」

「……」

「あ、でも子供できたらやぶさかでも」

「帰る」

「ここユキさんち」

「実家に」

「孫の顔見せますって報告?」

「気が早い」

「俺はいつでも」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……今日は……」

「……」

「……」

「……」

「……今日は、つけて」

「……何を?」

「……」

「……」

「……そう」

「……」

「……」

「……シャワー浴びてきます」

「……私が先」

「一緒に入りますか」

「……ちゃんとした下着、付けたいの」

「……」

「……」

「……」

「……」

「バスタオルオンリーでも」

「ばか」

「……」

「……」

「……」

「……好き」

「知ってます」




「……夕方ですね」

「……寝すぎた」

「どうします?」

「焼肉行こ」

「朝から……」

「寝起きなだけで晩御飯よ」

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先生だから 柊 論理 @lonely_logic

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