先生だから
恐縮 論理
第1話 居残り
「先生」
「なに?」
「数学と人生って似てるよね」
「どこが?」
「答えを出すのが大変」
「人生は答えが出ないかもしれないわよ」
「見つけようとしないだけだよ」
「あなたは探しているの?」
「もう見つけたよ」
「なにかしら」
「先生」
「そんな難問が解けたあなたなら、この問題くらいわけないわよね?」
「先生の心なら喜んで解明するんだけどね」
「あなたじゃ無理よ」
「どうして?」
「英語の補修で数学のこと話してるから」
「じゃあ英語の話すればできると」
「どのみち無理よ」
「どうして」
「私の心を埋めるには器が足りてないわ」
「ガバガバなの?」
「……」
「いはいれふ」
「次はないわよ」
「体罰じゃん」
「訴えていいわよ」
「もう一回おねがいします」
「訴えていいわよ」
「じゃなくてつねる方」
「マゾヒスト?」
「別に痛くなかったのでそういうわけでも」
「いたいですって言ってたのに」
「『一緒にいたいです』の『いたいです』、です」
「余計いや」
「先生も器足りてない」
「セクハラに厳しい時代なのよ」
「教え子のかわいいジョークくらい流そうよ」
「かわいくないから流してないの」
「先生と違って?」
「かわいくない生徒」
「じゃあかっこいい?」
「その返しはかっこよくない」
「先生は可愛いよ」
「私は綺麗なの」
「じゃあどっちも」
「じゃあってなによ」
「綺麗の中に可愛さがある」
「なんとかタンメンみたいな言い方」
「刺激的という点で共通です」
「お子様には早いってことよ」
「癖になるってこともあるでしょう。それです」
「この程度じゃまだまだね」
「じゃあ最高レベルお願いします」
「一見さんはお断り」
「じゃあ次回以降ならいいんだ」
「もちろん、課題増やしてあげるわよ」
「一緒にいられる時間が増えますね」
「……」
「いはいれふ」
「帰りたいから早く終わらせなさい」
「一緒にいたいからのんびりやろうかな」
「……」
「いはいれふ、いっひょに」
「教師は残業代出ないの」
「俺ならいつでももらってくれていいですよ」
「いらない。はい問9」
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