心温まる手紙のようなエッセイ

口が悪く、不器用な父親を邂逅する短いエッセイです。
最初は、亡き父親への恨み節で始まる本文ですが、その時代の常識が感じられて興味深いです。また、男子厨房に立たずという世代だったお父様が晩年、定番味噌汁を作るようになったのはどういう心境の変化だったのか……。特別な具ではないお父様の味噌汁は、なかなか言葉では伝えにくい世代の精一杯ので感謝や愛情表現だったのか知れません。
それをおいしいと感じ、いつか天国でも伝えたいという作者は、お父様の気持ちをしっかりと受け止めていたのだと思います。

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