Trick or Treat
誰かのぽっぽちゃん
トリック・オア・トリート
ヘンゼル:「グレーテル、見てよこれ、ジェリルシーがまた毒林檎作ってるよ。もーおいしい林檎が台無しだよぉ、」
グレーテル:「ヘンゼル、その林檎、捨てるの?勿体なくない?」
ヘンゼル:「どうやって使うの?それ。」
グレーテル:「んー、どうしよっか。あ、あの童話みたいなことしてみない?なんだっけ、何とか姫。」
ヘンゼル:「白雪姫?あのグリム童話の?」
グレーテル:「そう!それ!白雪姫!」
ヘンゼル:「で、白雪姫がどうしたの?なんか気になることでもあるの?」
グレーテル:「白雪姫ってさ、毒林檎食べて死ぬじゃない?まぁ、王子様とやらにキスされて起きるんだけどね。私、あの話そんなに好きじゃないけど、読んだ記憶あったからさ、それでね、やってみたいなーって思ってさ。ちょうどそこにレシピ、散らばってるしね。」
ヘンゼル:「白雪姫ねぇ、確かに話聞く限りつまんなそー。でも、僕も毒林檎に興味あるなぁ、ひひっ。ねぇ、グレーテル。その毒林檎、今から作らない?」
グレーテル:「いいね!そうしよっか。まずは散らかってるレシピ集めて順番にしないとダメだね。さてさてー、あんたも手伝ってよね、ヘンゼル。」
ヘンゼル:「へーいへい。やりますよーだ。」
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グレーテル:「ふぅ、片付け終わったし、並べ終わった。んで順番に並べたレシピには……あー、あ?あぁ、なるほどね。」
ヘンゼル:「ん?どうしたの、グレーテル?1人悶々として。」
グレーテル:「別に悶々としてないわよ。ヘンゼル。庭からありったけの林檎、持ってきて。これ分量を倍にしたら作れるみたいだからさ。ちょうど明日、ハロウィンじゃない?久方ぶりに街に出て、私お手製の毒林檎、配って回ろうよ。」
ヘンゼル:「僕も一緒に作るんですけどぉー。」
グレーテル:「あ、そうなの?まぁ、いいわ。一緒に作りましょ。ほら、ジェリルシーが帰ってきたら面倒臭くなりそうだからさ、早く林檎取ってきて。」
ヘンゼル:「へーい。行きますよーだ。」
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ヘンゼル:「りーんご、りんご、りーんご、りーんご、りんご、どくりんごー」
ヘンゼル:「ありったけの林檎取って来いってグレーテルは言ってたけど、こんな広い庭に植えてある林檎の木、全部取ってくるわけ?これ。……めんどくさ。」
ヘンゼル:「んーとりあえず、籠いっぱいに詰めれるだけ詰めるか。いいね、そうしよう。」
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グレーテル:「どれどれー、材料としているのがなんだー?えーっと、まずカエルの血、カラスの羽、ベラドンナの花弁(はなびら)、ベラドンナの実を沢山。えーっと、ベラドンナの実ってどれだろう?レシピの絵を見る限り黒い実みたいだけど……んー、どーれーだ。」
グレーテル:「あ、あった。ベラドンナの実。よし、これで毒林檎につける材料は見つかった。あとは、林檎が来たら、大釜に火を付けて、つーくろ。ふふふっ、楽しみだなぁ。」
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ヘンゼル:「よぉし、これくらいでいいでしょ。あとはグレーテルに持ってって毒林檎作るだけ、よいっしょっと。重っ!詰みすぎたや。まいっか、よいっしょっ!大釜の部屋までれっつごー……」
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ヘンゼル:「グレーテルー、取ってきたよーって、うわぁそんな量使うの?」
グレーテル:「決まってるじゃない。毒林檎作るためでしょ?あんたがどれだけ取ってくるかわかんなかったから大量に用意したの。さて、つくろっか。」
ヘンゼル:「うん!」
グレーテル:「まず、大釜に火をつけて、ちょっと待とう。って、もうぐつぐつしてきた。早いわね。それならこのレシピ通りに材料入れていくわよ。まず、カエルの血を5滴、んーこれだと20滴ね。1 2 3 4 5 6 … 16 17 18 19 20!よし、次はどれどれー、あ、ベラドンナの花弁(はなびら)を9枚。なら、花弁(はなびら)を18枚ね。……よし、次はベラドンナの実を20個…ん?実の量を増やす場合は、5個まで。なるほどね、じゃあ、この場合だと25個ね。そして最後にカラスの羽を1枚。これなら、2枚ね。」
ボコン!
ヘンゼル:「わ!びっくりした!」
グレーテル:「これでリンゴに塗る毒は出来上がったわ。ヘンゼル、取ってきたリンゴをちょうだい」
ヘンゼル:「はーい、どーぞ!」
グレーテル:「ありがとう。さて、5個づつ入れていこう。」
ヘンゼル:「ねぇ、なんで5個づつなの?一気に入れた方が良くない?」
グレーテル:「ダメだよ。一気に入れたら大釜から溢れちゃう。だから5個づつなの。」
ヘンゼル:「へーそうなんだー。ねね、グレーテル。」
グレーテル:「んー?なにー?ヘンゼル。」
ヘンゼル:「その毒林檎さ、子供に配らない?だってさ、明日ハロウィンじゃん?そしたら子供がお菓子欲しがるわけじゃん?林檎飴みたいにしたら面白そうじゃない?」
グレーテル:「そうね、それは面白そうね。出来上がったら飴を纏わせようか。」
ヘンゼル:「それいいねぇ、しよしよー!」
グレーテル:「じゃあ、ヘンゼル、飴持ってきて。ここじゃ作れないから、毒林檎が出来上がったら、上のキッチンに行こう。」
ヘンゼル:「いーよー!!」
グツグツグツ…
ぽちゃん、ぽちゃん、ぽちゃん
グレーテル:「よし、でーきた!」
パチパチパチパチ!
ヘンゼル:「じゃあ、この毒林檎、上に持っていこうよ!ひひっ楽しみだなぁ。」
グレーテル:「そうね、楽しみだわ。」
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ヘンゼル:「熱ッ!」
グレーテル:「もー、気をつけなねって何回も言ったのに。」
ヘンゼル:「えーだって、美味しそうに見えちゃったから。そりゃ近づいてみちゃうよね!」
グレーテル:「はぁ…ヘンゼルったら、ま、いいわ、あとはこの林檎に飴を纏わせてたら、はい!終わり!」
ヘンゼル:「やったぁー!できたぁー!」
グレーテル:「さて、この作った毒林檎、ジェリルシーに見つからないように隠さないとね。」
ヘンゼル:「そうだね。ひひっ、明日が楽しみだね。」
グレーテル:「ええ、そうね。ふふふっ。」
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グレーテル:「あら、またジェリルシーが居ないわ。どこに行ったのかしら。ん?手紙?なになにー、魔女集会に行くので数日居ません。留守番をお願いするよ…あぁ!魔女集会に行ってるのね!それならヘンゼルと遊び放題だわ。急いでヘンゼルを起こさないと。今晩の準備しなきゃ。」
グレーテル:「ヘンゼルー!起きてー!今晩の準備するわよー!」
ヘンゼル:「あと5分だけ寝かせてー…むにゃむにゃ…」
グレーテル:「はぁ、仕方ないんだからもー。…よいっしょ!ほら!さっさと起きる!」
ヘンゼル:「うわぁ!急に布団剥がさないでよ!びっくりして起きちゃったじゃん!」
グレーテル:「起きないあんたが悪いんでしょ?」
ヘンゼル:「ぐぬぬ…」
グレーテル:「ほら、さっさと起きる!」
ヘンゼル:「へいへい、起きますよーだ。」
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ヘンゼル:「あとはこの林檎を袋に詰めたら…よし!完成!」
グレーテル:「やっと終わったわね。どうしようか、どう子供たちに食べさせようか。」
ヘンゼル:「配る?」
グレーテル:「この量を?」
ヘンゼル:「あ、」
グレーテル:「おバカ。」
ヘンゼル:「おバカって言うなよー。むぅ。」
グレーテル:「間違ってないでしょ?」
ヘンゼル:「けっ、」
グレーテル:「ふふっ」
ヘンゼル:「まぁ、いいよ。これさえ出来たら台車持ってくればいいよ。」
グレーテル:「そうだね。それに乗せていこうか。」
ヘンゼル:「うん!いえい、僕てんさーい!」
グレーテル:「はいはい。」
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チャーリー:「ねね、ルーシー。ハロウィンの仮装何にするー?」
ルーシー:「んー、私は魔女にするー!」
チャーリー:「じゃぁ、僕、悪魔にする!」
チャーリー&ルーシー「ふふふっ」
ルーシー:「ねね、お菓子何貰えるかな?」
チャーリー:「僕は林檎飴がほしいなぁー」
ルーシー:「わたしもほしいなぁ」
ウィリアム:「お前達ーあと少ししたら夜になるから準備してこーい。」
チャーリー&ルーシー:「はーい!」
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ヘンゼル:「よいっしょ、よいっしょ。重たいよぉー、グレーテルも手伝ってよー。」
グレーテル:「いやよ。だって、私女の子だもん。」
ヘンゼル:「そこで女の子出すなよォ。もー、わかったよ。持っていくよ。はぁ、もぉグレーテルったらぁ」
グレーテル:「んふふ。ラッキー。」
ヘンゼル:「ん?何か言った?」
グレーテル:「べつにー?」
ヘンゼル:「そっか。」
グレーテル:「ふふっ。」
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チャーリー&ルーシー:「トリック・オア・トリート!」
ウィリアム:「最初が俺かよ笑」
ルーシー:「うん!一番最初におじさんの美味しいクッキー食べたかったから!」
チャーリー:「僕も僕も!」
ウィリアム:「そうかそうか!いいぞ、ちょっとだけ待っててな?こうもあろうかと、作っておいたんだ。おじさん天才だろ?」
ルーシー:「おじさんてんさーい!」
ウィリアム:「はっはっは!」
チャーリー&ルーシー:「んふふふっ」
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グレーテル:「ここら辺でいいんじゃない?ちょうど子供たちも沢山いるし、」
ヘンゼル:「そうだね、ここにしよう!お菓子並べてー、んーと、これをこうして、ああして…こう!ふふん、完璧でしょ?」
グレーテル:「そうね。完璧だね。早速配ってしまおうか。クスクスッ」
ヘンゼル:「そうだね、ひひっ」
ヘンゼル:「あ、早速来たよ。」
グレーテル:「ええ、そうね。クスッ」
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チャーリー&ルーシー:「トリック・オア・トリート!お菓子くれなきゃ、お姉さんとお兄さんにイタズラするぞ!」
グレーテル:「いらっしゃい。ほら、お菓子、好きなだけ持ってっていいからね!」
チャーリー:「やったぁ!ルーシー、沢山持っていこ!」
ルーシー:「うん!そうしよう!」
ヘンゼル:「ひひっ、お兄さんとお姉さんお手製の林檎飴だよ。良かったら沢山食べてね。」
チャーリー&ルーシー:「うん!ありがとう!」
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ヘンゼル:「早速売れたね。」
グレーテル:「そうね。帰ってあれさえ食べてしまえば翌日はあの世行きだわ。クスッ、それに、あれには別の魔法もかけてあるから。その効果が出るのが楽しみだわ。」
ヘンゼル:「ん?別の魔法?」
グレーテル:「そ。別の魔法。明日見たらわかるわ。」
ヘンゼル:「へーい。」
グレーテル:「ほらみて、他にも子供たちが来たわ、待っててねー、順番に配るねー ──」
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ヘンゼル:「はぁ、疲れたぁー。ねね、グレーテル。帰ったら、カップケーキでも作って食べようよ、僕、お腹すいたー。」
グレーテル:「いいわよ。ついでにレモネードでも買って帰りましょ。」
ヘンゼル:「いいね、そうしよう。」
ヘンゼル&グレーテル:「ひひひっ」
────────────────────
ガチャ
ウィリアム:「おう、お前たちおかえり!ん?どうした?顔色悪いぞ?」
チャーリー:「ううん、大丈夫だよ、少し気持ち悪いだけだから……うぅっ!」
ルーシー:「私も気持ちが悪いの。おじさん、吐きそう。たすけて……」
ウィリアム:「おうおう、大丈夫か?とりあえず、水持ってくるからお前たちはベッドで寝てろ。いいな?」
チャーリー&ルーシー:「はぁい……」
ウィリアム:「大丈夫か、あの子たち。とりあえず、すぐ2人に水持っていかんとな。」
ドンッ
ウィリアム:「ん?なんの音だ?」
ガチャ
ウィリアム:「おい!どうした!大丈夫か!ルーシー、チャーリー!」
チャーリー:「おじさん、助けて、目が変だよ……」
ルーシー:「おじさぁん、私の目もおかしいの、たすけて……」
ウィリアム:「どれどれ見せてみろ。うわっ!なんだこれ!……待ってろ、チャーリー、ルーシー、すぐ手当するからな!」
チャーリー:「うん……」
ルーシー:「……」
ガチャ
ウィリアム:「もどったぞ!……?あぁ、寝たのか。どれどれ、今のうちに消毒して、包帯を巻いておこう。」
ウィリアム:「よし、これで2人とも大丈夫だな、1晩寝かせておこう。おやすみ、2人とも。」
────────────────────
チャーリー:「うっ、うう。」
ルーシー:「うぅ。おじさん、気持ちが悪いよ。くるしいよ。お腹すいたよぉ、」
チャーリー&ルーシー:「……………………… 」
────────────────────
ウィリアム:「おはよう、ふたりと、も、……え?」
チャーリー:「お、おじ、おじさ、さん。」
ルーシー:「おじ、さ、ん、おなか、すいたよ、」
ウィリアム:「チャーリー?ルーシー?……ひぃ!なんだ!化け物、近寄るな!」
チャーリー:「うぅ、う、うぅぅ、」
ルーシー:「……あ、あ、あぁ、あ、」
ウィリアム:「う、うわぁ!!近寄るな!来るな!化け物!」
ガチャ、ガチャガチャガチャッ
ウィリアム:「くっそ、なんであかないんだよ!」
ルーシー:「か、かゆい、かゆいよ、お、おじ、おじさん。」
チャーリー:「あ、あ、あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ」
ウィリアム:「来るな!来るな来るな来るな!」
ルーシー:「おじ、さ、ん、いい、に、におい、がす、する。」
ウィリアム:「ひぃ!た、助けてくれ!誰か!助けてくれ!」
チャーリー:「うぅぅ、あ゛ぁ、」
ルーシー:「ぅぅぅぅう゛、」
ウィリアム:「う、う、うわぁぁぁぁあ!……あ、あ、あぁ、……」
ウィリアム:「……………………… 。」
────────────────────
グレーテル:「……案外呆気なかったね、面白くないなぁ、せっかくゾンビになる魔法かけたのに、」
ヘンゼル:「グレーテルって意外と悪趣味だよね。僕も人のこと言えないけど、」
グレーテル:「別にー?普通だと思うけど?」
ヘンゼル:「そうかなぁ……」
グレーテル:「なんか文句でもある?」
ヘンゼル:「いや、なんでもなぁーい、」
ヘンゼル:「てかさ、ソレ、どうするの?」
グレーテル:「首もいで、街に飾ろうかなぁって、思うんだけどどう?」
ヘンゼル:「いいね、そうしよっか!よし、急いでガトーショコラ食べてしまおう!グレーテルも早くパンプキンパイ食べてよね!」
グレーテル:「わかってる、わかってる。」
グレーテル:「にしても、ニンゲンが、あんなにあっけなくゾンビになるのは面白いわね。」
ヘンゼル:「そうだね。さて、食べ終わったし、グレーテル、今から街に出よ?」
グレーテル:「そうだね、そうしましょ。ニンゲンの怯える顔が見れるの楽しみだわ。」
ヘンゼル&グレーテル:「ひ、ひひっ、ひひひひひっ、」
Fin
Trick or Treat 誰かのぽっぽちゃん @Margarita-0221
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