第2話 最強は君だ!

 暫くボーッとしていた俺だが、どうやら異世界にいるらしいなと結論づけた。だって太陽が三つもあるんだよ。一つは明るい太陽で、一つは黒い太陽、もう一つは青い太陽だ。そりゃ異世界しかないだろうよ。

 その時だった。後ろから歩いてくる人の足音が聞こえたのでバッと振り向いた。


 こうなったら誰かに聞いてみるしかない!


 だが振り向いた俺は我が目を疑った。そこに居たのは人ではなかったのだ。いや、二本足で立って歩いているし、頭は一つ、手は二本と人型ではあるのだが、どう見ても異形の存在なのだ。身長が二メートルを超えてそうなのはまだ許容範囲だが……


 頭には角が生えてるし、口からのぞくのは恐ろしいぐらいのギザギザの歯だ。そして何よりも俺を見てニヤニヤしながらよだれを垂らしているのだ……


 鬼だろ、それも食人鬼オーガだろ。俺の趣味であるロールプレイングゲームの知識から導き出した答えは間違ってないと思う。


 そんなオーガの後ろでは倒れている人が何人かいるのを見つけた。生きてるのか死んでるのかは分からないが、取り敢えずは目の前に迫ってきているオーガをどうにかしないと俺も同じようになってしまう。いや、同じようにはならないか?

 よだれを垂らしているのを見る限り、食べるつもりなんだろうなぁ……


 しかし、俺の手にあるのはピコピコハンマーだ。こんなもので恐ろしいオーガに相対する事が出来るとは思わない…… が、現状これしか武器が無いなら使うしかしょうが無い。ひょっとしたら叩く事でこの世界では聞いた事のないだろう音に怯えて逃げてくれるかも知れない!!


 という儚い望みにかけて俺はピコピコハンマーを構えて、そしてオーガに向けて振った。


 俺の振ったピコピコハンマーは身長差からオーガの腹に当たり、【ピコッ】と軽快な音をたてた。


 しかし、その効果は俺もビックリするものだった。


 何とオーガの腹に穴が空いたのだ!!


「うわっ!! ど、どうなってんだ、コレ!?」


 思わず叫んだ俺を不思議そうな目をしながら見ていたオーガは突然に白目を向いて前のめりに倒れたのだった。


「凄い!! オーガのレア種であるオーガジェノサイドを一撃だなんて!! 君は何者なんだ! この世界で最強じゃないのか!!」


 という声が聞こえてそっちを向くと倒れていた人が立ちあがって俺の方を見ていた。


 いや、何者かはともかく俺が知りたいよ。ここは何処で、何で俺はここに居るのかを……

 

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