【短編】手には鎚(ピコピコハンマー)! 頭には兜(丸ヘルメット)! 最強装備だと本人は知らない……
しょうわな人
第1話 転移は突然に!?
俺の名前は
で、四月に入社してはや、十二月。今日は十二月二十七日で会社の忘年会の日だった。
言っておくがうちの会社は厳しくて、成人してはいるが法律上、二十歳にならないと飲めないアルコールは俺には出されない。
まあ、俺も酒は飲めないらしいからちょうど良いのだが。
アレルギー検査をした時にアルコールにも少しだが反応があったらしいので、飲まない方が無難だろうという事だ。
二十歳になって無理に飲まされるのを避ける為に、会社にも既に申告済だ。
うちの会社の忘年会は会社横の居酒屋を貸し切りにして開かれる。
で、事務員のお局様の発案で今は余興の最中である。
【叩いて被ってジャンケンぽん】だ。現在は部長と係長の勝負の真っ最中で、五本中三本を係長が取っている。六本勝負なので次に部長が勝てばサドンデスに入るが、ここぞとばかりに係長が部長の頭をピンクのピコピコハンマーでしばき倒して勝利した。
賞金の一万円を受取り満面の笑みの係長だが、新年からの仕事がきつくなる事だろう……
で、俺の番になった。相手は社長だ。
「まるお、もしも俺に勝てたなら賞金の一万にプラスして俺のポケットマネーから二万くれてやる。本気でかかってこい!」
社長はこういう勝負事が大好きだからなぁ……
入社して二ヶ月経った頃には俺も社長の性格を把握していたぐらい分かりやすい人だ。
金払いは良くて、夏の賞与こそ新入社員の俺は寸志だったが、
因みに冬の賞与はちゃんと二ヶ月分を貰った。
で、勝負だが……
六本勝負のうち俺が既に三本を取っている。次で決めたら俺の勝ちだ。俺は社長に言う。
「社長! ご祝儀、有難うございます!!」
俺の言葉に社長は、
「フッ! もう勝ったつもりかまるお。今までの俺は五パーセントの力しか使ってなかったというのに…… 仕方がない、慢心した若者に現実をおしえてやろう」
と、何処かの悪役のようなセリフを吐いてきた。
俺と社長の言葉が被る。
「「叩いて被ってジャンケンぽんっ!!!」」
俺はチョキ、社長はグーだ! 俺は目の前の丸ヘルメットを手に取った! だが、その瞬間に社長の手に取られたピンクのピコピコハンマーが俺の頭頂をしばき倒した!
で、そこで俺の意識は途切れているのたが……
「ここ、何処?」
気がつけば俺は何処かの道の真ん中で、赤のピコピコハンマーを手に持ち、頭には丸ヘルメットを被って立っていたのだった……
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