別離
f
Elirhotå
戦は終わった。
チェサル国の特殊部隊 《
彼は失敗し、部下も死んだ。
彼は相棒の
ふと、東から鷹の鳴き声が響いた。
バルバスはディーリニの足を止め、後ろを振り返った。別の
バルバスは迷った末、その人物を待つことにした。
彼を追って来たのは彼と同じ 《
「バルバス!」 « Bárbåt! »
コマーズの刺青だらけの顔は怒りで歪んでいた。
「どこに行こうってんだ?」 « Hérhz el'dånot zárhz, he? »
「灰色の神殿だ。その前に 《紋消し》に会う」 « Hár Temníe mevir. »
「なぜ?なぜ俺たちの所に戻って来ない?」 « Hwiåt'? Hwiåt' nárhze el'turhelot' erhikå? »
バルバスはこわばった笑みを浮かべることしかできなかった。きっとコマーズには分からない。彼はコマーズの決断力や信念の強さを愛していたが、彼の弱さについて理解されることはないだろうと思っていた。そもそもバルバスは故郷でも暗殺部隊に属しており、仲間の中にいてすらどこか馴染めなさを覚えていた。
コマーズは続けた。
「みんな死んだわけじゃない、戦ったのも仲間を失ったのもお前だけじゃない。ヌニークも、プァルドも、デゾマも、まだ生きてるじゃないか。みんなどうにか先へ進もうとしてる。お前は生き延びたんだ!だからちゃんと生きないとだめだ」 « Né Noškerhi dj'árhðoch't. Urhot nárhze äliirr Áng'herhi húi dj'lodirhof ín dj'bhlágof Tifárherrnå. Phárhdå, N'ník, ó Dezomá etålü yårr.
「……私にも君のような強さがあればよかった」 « Ghlimó dj'urho rhákhšeerr rhåz teoi. »
コマーズはバルバスの肩をがっしりと掴んだ。
「肌の模様を消せても、
「その通りだ……」 « Ná lá…… »
だから彼は灰色の神殿に行くのだ。すべての
バルバスは続けた。
「私は自分の
「お前から溢れた
肩を掴むコマーズの手に力が入るのを感じたが、バルバスは自分の手をそっと添えてから引き剥がした。
「過ちも
コマーズは全く納得していなかった。だがどうにか落ち着ことしているらしく腰に手を当てて深呼吸した。
「お前がチェサルに行くのを止めていれば……」 « Dj'rhádoch' yezárhz dj'dánot ilyå Chesalu…… »
「君は止めてくれたが、私は行った。
コマーズはバルバスの頬の刺青に触れた。
「……これは俺が彫った」 « Khi dj'nárrmoch' …… »
「君は模様を描くのが上手かった」 « Urhot' Nárhåmeyå gárhirr. »
「本当に
「そのために灰色の神殿に行くんだ」 « Khi hwiåt el'dán'śå hårr Temnáiå Mevír. »
コマーズは鼻で笑った。
「本当に可能なら、神殿なんていらないはずだ」 « Rhont ghárhz el'irhoch'f, merhdí Temnáiå nárhze. »
そこで言葉が途切れた。お互いに言いたいことはあったが、もはや手遅れで、何の意味もないと分かっていた。
沈黙の後、先に口を開いたのはコマーズだった。
「いつか、俺たちは再び会うだろう」 « Vligheum, ešån el'erhåk. »
「それは──」 « Khi — »
「俺の名前が何を意味するか忘れたのか、バルバス?」 « Århz édešrhoch't Ládån sen Sákhåi teik'? »
コマーズとは賽子賭博で《ゾロ目》、すなわち幸運を意味する。
彼は続けた。
「俺の予感は当たるんだよ」 « Sethol digån ferhov hárr eik'. »
今回はその運も当てにならないだろうとバルバスは思ったが、友の気持ちを尊重して微笑んだ。
「君は……ちゃんと生きてほしい、コマーズ」 « Glimòš…… el'etålot gårhirr, Komáz. »
バルバスはそう言ってから、我ながら無責任だと思った。
コマーズはにやりと笑い、拳を口に当ててから二本指を立てた。《誓い》を示す
「当たり前だ」 « Frråšúrh. »
二人は固く抱き合い、別れを告げた。
「さらばだ」 « Elirhotå. »
そして
別離 f @fawntkyn
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