第2話 蛇足

 私は喜重郎の頭から手を離した。首の骨の支えを失った頭は、だらんと垂れる。目は見開いたまま、あさっての方向を向いていた。


 私は歯ぎしりする。


 こいつさえ産まれてこなければよかったんだ。こいつさえ産まれなければ、今もおじいちゃんの愛情は私に向いていたはずなのに。


 おじいちゃんは孫娘の私なんかより、産まれたばかりの息子に目をかけるようになった。その結果がこれだ。


 息子は殺され、孫娘は殺人犯に。


「これぐらいやれば、おじいちゃんも振り向いてくれるよね」

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私と叔父は仲がよくない。 天野 純一 @kouyadoufu999

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