カクコン9 私小説の名手の短編( ;∀;)

僕はこちらの短編を読んで内容もさる事ながら、その語りの絶妙さに舌を巻きます。カクヨムではあまり見受けられない私小説。どうぞお楽しみ頂ければ幸いです(筆者様の作風は広いので、こちらはその一端となります)。

まずは私小説、このファンタジーが主流であるカクヨムでは完全にその対極と位置して間違いない立場の小説です。元々はリアリズムの追求という性質から、純文学の中でも「私小説」をさらに難しく捉えてしまって、難しく考える方もいるかとは思います。

ですが、皆様もご存知であろう又吉直樹著「火花」。こちら私小説であり純文学であります。どうです? そんな難しく考えなくていいでしょう? ちなみに芥川賞受賞作品の中では、歴代最高の発行部数を誇ります。すごく売れたんです。私小説は小難しいのがリアルなのではなくて、人間をキチンと示せばそれでいいと僕は考えたりしています。

さて、肝心のこちらの物語です。

筆者様の湖沼への想いが綴られております。内容は伏せておきますが、僕はその語りがすごく好きです。私小説のキーポイントの一つはその語りです。少しだけ難しく言えば、事象に対する距離感がすごく良くて、そこに筆者様独自の境地を感じてしまいます。その境地がすごく僕は好きなのです。

これはとても感覚的なもので、詳しくは割愛しますが、皆様も引き込まれる事は間違いないでしょう。メッセージ性の強いエンターテイメント小説の「伝えたい事はこれだ!」と言う物語とは違います。ですが、ここにある「何か」を感じ取って頂けると幸いです。

お勧めいたします。

カクコン9短編部門で「私小説」を送り出した筆者様の姿勢に、最大の敬意を表してお勧めさせて頂きます。

皆様、宜しくお願い致します。