納得のハーレム。主人公の他者への眼差しがかっこいい!!

ハーレムものって集う女性たちの魅力も必要ですが、まずは主人公である男性に魅力がないと説得力に欠けると思っています。
読者に「この主人公なら女性たちが惚れるのもわかる」と納得させるなにか。
『最高神の依代』の主人公テオドアは、魔力無しのため不遇な環境で育ちます。本妻や義兄、使用人からも見下されバカにされる日々。
ですが、依代候補に選ばれた日から人生が一転します。
訪れる試練。戦い。裏切り。苦悩。目覚め。己の内にある醜さ。
成り上がってはいくものの、人間らしい弱さや戸惑い、過小評価がつきまといます。
それでもテオドアが女性たちを惹きつけるのは、他者への真摯な眼差しなのだと思います。
相手が誰であれ、差別しない。実はすごく難しいことで、普通の人なら、女神様と鳥とでは見る目を変えるでしょう。
でもテオドアは、鳥にも敬意を払い、鳥の気持ちを汲み取ろうとします。
鳥、惚れちゃうよね! この人を雛のパパにしたいと思うよね。
女性たちを魅了させても、テオドアにその自覚はなし。その鈍感さもご愛嬌です。

成り上がりファンタジーとしても、試練をクリアしていく冒険ものとしても、そしてハーレムものとしても。読んでいて心地の良い作品です。

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