第6話 『UMA探索隊』
桜坂高校オカルト研究部所属の渡辺部長とその後輩の早乙女は山奥の森林でツチノコの捜索に出ていた。目撃情報をもとに二人は山奥を進み、ついにそれらしき生物を見つけるに至った。
「さ、早乙女くん! 大発見だ! ついにツチノコを見つけたぞ!」
渡辺の目の前にはツチノコらしき蛇が地面を這いずっていた。腹が大きく膨れ上がった可愛らしいフォルムは間違いなくツチノコだった。意気揚々と渡辺は手にもった網でツチノコを捕まえようとした、その瞬間だった。
「オエエ」とその蛇は大きくのけ反ると口から
「部長。これって」
「ああ、ただの瓢箪を誤飲した蛇だね」
二人は残念そうに肩を落としていた。
そして、別の日のこと。オカ研の二人はとある牧場にチュパカブラが出現したとの情報を聞くとイキイキとそこに駆けつけた。二人はその牧場の主にチュパカブラの情報を聞くと、その牧場主は大層笑うのだった。
「いやぁ、誰かが勘違いしたんだろうね。あれは動物園から脱走したナマケモノだったんだよ。湖を泳いでここに来たから毛が濡れて体型が骨ばっててスリムだろう? それに爪も長く伸びてるからバケモノに見えたんだろうね」
陽に焼けて肌が浅黒い牧場主は河童のように禿げ上がった頭頂部を撫でさすりながら答えた。彼が持っていた写真に映るナマケモノは、体毛がピッタリと肌にくっつき、まさしくチュパカブラのように見えた。
「そんな……」
またしても肩を落として残念がる二人だった。
「そうだ。ナマケモノを動物園に返すんだがね。キミ達も着いてくるかい? いまそこの動物園に珍しいアルビノのゴリラがいるみたいなんだ」
牧場主の言葉に甘えて二人はそこの動物園に着いて行くことにした。世にも珍しいアルビノのゴリラの檻の前には人だかりができていた。遠目からその白い毛並みのゴリラを覗き込んだ二人は「まるで雪男みたいだねぇ」と虚しくぼやくのだった。
最近手に入れたUFOの写真もただのフリスビーが映っていただけだし、スカイフィシュも高速で入り込んで残像となった羽虫の類い。廃部の危機に晒され、成果もあげられないままの二人はずっと落ち込んだままだった。
近場の中華料理店でアルバイトしている同級生はこう言った。
「はぁ? UMA? そんなの見た奴の勘違いだろ? お前ら、そんな馬鹿げたもん追っかけ回してんのかよ」
東雲という同級生の少年は呆れた風に言っていた。
渡辺と早乙女の二人はそう指摘されると何も言い返すことができなかった。
空想短編物語 加賀美うつせ @kagamiutuse
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