第36話 国松の犠牲と家康の要求
彦根城内は緊迫した雰囲気に包まれていた。秀頼と如庵の画策が、徳川に付いた武将たちによって暴露されたことで、家康の怒りは制御不能なレベルに達していた。家康は秀頼に対して、将軍の座からの退陣を要求する。
家康の圧力は日に日に強まり、秀頼は苦渋の決断を迫られていた。彼は深く考え込み、重い心で家康の要求を受け入れるかどうかを検討していた。
しかし、この緊急事態に、国松が突如前に出て言った。「兄上、私が代わりに命を差し出します。将軍の座に留まって、豊臣家を守ってください」と国松は断固として言い放つ。彼の声は堂々としており、その決意は固いものだった。
国松のこの提案は、秀頼にとっても、如庵にとっても衝撃的なものであった。秀頼は弟の献身に心を痛めながらも、「国松、お前がそこまでしてくれるとは...」と感謝の言葉を述べるが、その表情は苦悩に満ちていた。
一方、如庵もまた、国松の提案に深い衝撃を受けていた。彼は国松に対して「国松様、そのような犠牲は必要ありません。私が何とかします」と必死に説得しようとするが、国松の決意は変わらない。
彦根城内はこの出来事によりさらに混乱し、秀頼は国松の犠牲を受け入れるべきか、それとも他の道を探すべきか、深い葛藤に陥っていた。国松の決断は、豊臣家内部の権力関係にも大きな影響を与えることになる。
如庵は国松の勇気に感銘を受けつつも、彼の犠牲を防ぐために新たな策を練ることを誓う。彼の心は、豊臣家を守るための決意で満たされていた。しかし、家康の圧倒的な影響力の前に、彼が取るべき道は限られていた。
時空を超える策―関ヶ原の運命 モノック @monoq
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