第15話 入院

改めて、先生が私の隣に座って話始める。


「私が担当医の増田です。よろしくおねがいします。」


「よろしくお願いします」


「まず、ルトさんのフルネームを教えてください」


「坂本ルトです」


「生年月日と血液型をお聞きしてもいいですか」


「1995年10月31日で、血液型はAB型です」


私は2001年生まれだから6つ年上だったようだ。


「わかりました。坂本さん、倒れた時のこと覚えていますか」


「覚えています。心臓のあたりが苦しくなって、いつもはすぐ収まるんですけど、この時はなかなか収まらなくて、そのまま意識を失いました」


「なるほど…なにか心臓のご病気をお持ちですか」


「いいえ、診断されたことはありません」


「そうですか。心臓が苦しくなるというのはいつごろからですか」


「5歳の時からです」


「ふんふん。詳しいことはまた後で聞きますが、一度検査したほうがいいかもしれませんね。ひとまず、2,3日入院してください。その間に検査とかもしてみましょう。」


「はい」


「今はとりあえず休んでください。明日また改めて詳しく相談しましょう。何か聞きたいことや心配事はありますか」


「いえ、大丈夫です」


「では、失礼します」


先生が出ていく。ニコニコはしていないけれど優しい感じの先生だった。


「ルトさんの苗字初めて聞きました」


「そうだっけ?」


「はい、名前聞いた時も下の名前しか言ってなかったです」


「そっか。ふふ。不思議だね。少し前の僕なら絶対に人に名前なんて教えなかったのに」


「そうなんですか?でもどうして私にこんなに良くしてくれるんですか」


「なんでだろうね。僕にもわからないや」


そういって静かに笑う。


「えり奈ちゃん、僕が退院したらはなしたいことがあるんだ」


「退院したらですか??」


「うん」



そのあともしばらくルトさんと少しお話をして、疲れさせても申し訳ないので、私は病院を後にすることにした。


「ゆっくりしていてください。」


「また、明日も来てくれる?」


「大学終わったらすぐ行きますね!」


ルトさんにスマホ枕元にありますから、と伝えて私は病院を後にする。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

名前のない図書館 @mipple

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ