第8話 体験入部


 俺たちを見つけると手を振ってきた。


「東雲くん、秋山さん」

「お疲れ様です」


 俺がそういうと、手を横に振る。


「そんな堅苦しくなくていいよ。それよりも、部室の場所わからないでしょ?」

「「あ!!」」


 俺と秋山は目を合わせながら、忘れていたって表情をした。


「今から案内するからついてきてね」

「「はい」」


(実際、写真部って何をするんだろう?)


 はっきり言って、目的が分からない。吹奏楽部などの音楽系やスポーツ系なら大会を目標に頑張る。


 だけど、写真部に大会というのがあるのかと言われると、パッとは思い浮かばない。


「なに難しい顔をしているの?」

「いや、何でもないよ」

「そっか」


 そして、部室にたどり着くと、そこにはショートカットの女性が座っていた。


「芽衣ちゃん!! 新入部員を連れてきたよ」

「そ、そうですか」


 先輩は俺たちのことを一瞬見た後、写真へ視線を戻した。


「じゃあ、活動内容を説明するね」

「「はい」」


 近藤先輩は写真を数枚取り出して、机の上に置く。


「写真部って言うだけあって、写真を撮ります」


(まあ、そうだよな)


「活動日時は特に決まっていません」

「「え?」」


 その言葉に驚きを隠し切れなかった。


「まあ驚くよね。でも、しいて言えば週に一回、写真を見せ合うっていうのがあるぐらい。まあ、部室はいつでも空いているよ」

「はぁ」

「写真っていうのは、撮りたいと思って撮るもの。強制することじゃないの。だから、活動時間を決める意味がないのよ」

「あ~」


 自主性を求めるってことか。でも、それは理にかなっているのかもしれない。


 運動部や吹奏楽部などは強制的にやっても、実力がついていく。だが、写真部は実力というより、その人の感性を見ているもの。


 そりゃあ、写真を撮る技術は必要だ。でも、何から何まで撮っていいわけではない。それをこの部活では尊重しているってことなのね。


 すると、秋山が手を挙げる。


「どうしたの?」

「えっと、コンクールとか強制はないのですか?」

「コンテストはあるけど、強制ではないわ」


 そう言った後、近藤先輩はハッとした表情で言う。


「だけど、部活ってこともあって文化祭には出す品を作らなけばいけない」


(そういう事ね)


「俺からも一つ質問をしてもいいですか?」

「なに?」

「学校行事で写真を撮るのはこの部ですか?」

「違うよ。でもやりたければやるって感じ」


(本当に自主性を求める部活なんだな)


「ありがとうございます」

「いいえ。それで入る気にはなった?」

「まあ、朝よりかはなりましたね」

「私も!!」


 朝、近藤先輩に勧誘を受けた時は何をするのか思い浮かばなかったけど、今は少しずつだけど想像がつくようになってきた。


 それに加えて、自主性を求めるっていうのがいい。能動的に動くことも大切ではあるけど、いずれは主体的に動かなければいけなくなる。


 だからこそ、ここで学べるのは良いかもしれない。


「じゃあ、二人とも仮入部ってことでいい?」

「「はい」」

「じゃあ部員説明をするね。そこに座っているのが二年生の橋本芽衣。後は、ここにはいないけど三年の渡辺純って子がいるわ」

「わかりました」


 俺は橋本先輩に目を向ける。


(秋山とはジャンルが違うけど、美人だ)


 秋山はギャルって感じがするけど、橋本先輩はおっとりとしていて、可愛い感じだ。


「東雲大輝です。橋本先輩、よろしくお願いします」

「秋山千冬です。よろしくお願いします」

「うん。よろしく」


 見た目通り、淡々としている人だなぁ。


 そう思っていると、近藤先輩からカメラを渡される。


「はい!! これで写真を撮ってきて。来週の金曜日、集合ってことで言い?」

「「はい、ありがとうございます」」


 俺と秋山は先輩たちに頭を下げて部室を後にした。


「なんか、思っていたのと違った」

「そうだな。でも面白そう」

「私よりはまりそうじゃん」

「あはは」


 手で頭を掻いていると、秋山が言う。


「明日の放課後、ちょっと出かけない?」

「いいね」

「決まりね!!」

「あぁ」


 そして、俺たちは家へ帰った。その時、秋山はなぜかスキップをしていた。


「東雲と遊ぶ約束ができた!!」



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冤罪を救った金髪ギャルから恋愛を教わることになった 煙雨 @dai-612

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