第27話 エピローグ――――――――話はまとまったという事にしておこう。

 ということで、クリスタの欲望……恋する気持ちを叶える為、ルーファスの感情を育てる為、レイモンドから復讐心を無くす為に、3人で恋愛することになったので、(なったのか?)落ち込んでいるレイモンドへ、その事を伝えに行く。


(何だかよく分からないことになったぞ……。恋愛をした記憶は無いし、感情を学べと言われてもよく分からん。とりあえず、レイモンドも一緒にやるみたいだから何とかなる……のか? それにしても、何故クリスタは俺にくっつきたがるんだ?)


 ルーファスは周りが勝手に話を進めて、勝手に決まってしまったことに不安を覚えていたが、それよりも、腕に張り付いているクリスタの行動が不思議で気になってしまう。……ついでにアレクサンダーの視線が鋭いのも気になるが……。


(俺の顔が好きだと言っていて、それから中身も知りたいと……そんな気持ちになるのが好きという事なのか? レイモンドもクリスタに対して同じような感情を抱いているのだろうか? 俺にもその気持ちがわかる日が来るのか?)


 これまでも、クリスタの行動が不思議で、ついつい気になってじーっと見つめてしまっていたが、今回もそんなことを思いながら見つめてしまう。

 クリスタは、見られていることに気づいたのかポポッと頬を染めて、ルーファスを見上げた。


「レイモンドさんにお話をした後、一緒にお散歩しませんか?」


 クリスタは、頬を染めたまま、嬉しそうにニコニコしながらそんなことを言ってきた。


「散歩? そんなことをして何になるんだ?」


 訳が分からず、クリスタに問い返すルーファス。


「何にもなりませんよ。ただ、私がルーファスさんと一緒に居たいだけです!」


「?? そうなのか、わかった」


 理由はよく分からなかったが、クリスタはルーファスと一緒に居たいらしいので、散歩へ行くことにした。


「えっ良いんですか?」


「そうだな、特にやることも……」


 ルーファスがそう返事をしかけた時、


「あ! そうでした~! レイモンドさんに先ほどの話をしてから言うつもりだったのですが、クリスタと恋愛をする間は、お城で住み込みで働いてもらいますので、そのつもりで宜しくお願いしますねぇ」


 と、エドワードに言われた。


「お城で働く? 俺に何ができるんだ?」


「それはこちらで調べて決めますので、心配はご無用ですよ~」


 ルーファスは、予想外の事がどんどん決まっていく事に不安を覚えたが、どうしようもないので従う事にする。


「やった~! お城で働くという事は、いつでも会えますね!」


「仕事中は邪魔をしてはだめだぞ」


 無邪気に喜んだクリスタに、鋭い視線でこちらを見ていたアレクサンダーがすかさず注意をする。


「わかってますよ!」


 本当に分かっているのかは謎だが、クリスタはそう返事をした。



§★§★§★§



(復讐をするためにここへ来て、頑張って龍の巫女であるクリスタを見つけて、ルーファスも無事卵から孵って、あとはルーファスを火龍にしてから黒龍を探すだけだと思ってたのに、何でこうなったんだろ……)


 部屋へ戻ってきてからずっと落ち込んでいるレイモンド。


(僕から復讐を取り上げたら何も残らないよ……黒龍があんな弱弱しい黒猫なんかにならなければ……といっても仕方ない事だよね。なっちゃってるんだから。……あっ! でも黒猫の身体に飽きて、黒龍の身体に戻ればって……それは一体いつなんだよ……はぁ)


 何を考えても、結局諦めるしかないのかと、ベッドのうえでゴロゴロしながら考えていたら、部屋の扉をノックする音が聞こえた。


(あれ? ルーファスかな? エドワードあたりが気を利かせて、今晩は違う部屋へ案内されるかと思ったんだけど)


 そう思いながら扉を開ける。


「レイモンドさん! お話があってきました!」


 扉を開けた瞬間、元気よくそう言ったクリスタは、ルーファスの逞しい腕に絡まっており、その周りにはエドワードもアレクサンダーも居る。勢揃いだ。


「え? ていうか全員集合?? なんで?」


「かくかくしかじかで、3人で恋愛をするという事になりました!」


 クリスタが便利なかくかくしかじかを使って、元気よく説明をする。


「は? 恋愛するのにいちいち宣言するの? ていうか3人で恋愛って何なの?」


 レイモンドは至極当然な返事をした。


「まぁまぁ、難しいことは考えず、時間もあるのですから付き合ってやって下さいねぇ」


「はぁ?」


 という事で、この後レイモンドはエドワードに説得され、復讐も何もできることが無いという事実と、クリスタに公認で迫ってもいいという事から、もうどうでもいいやという気持ちになってしまい、了承してしまうのであった。


「さてお話は済んだみたいなので、ルーファスさん、一緒にお散歩へ行きましょう!」


 話がまとまったところで、クリスタが元気よくルーファスを誘う。


「そうだな」


 ルーファスも先ほど約束をしていたので即答する。

 後ろではアレクサンダーが、ぐぬぬと何かをこらえている様子でルーファスを睨みつけている。


「あれ? なになに? 2人でどっか行くつもりなの?? それはズルいなぁ、僕も行くからね~」


 エドワードに言われた通り、レイモンドが早速2人に割り込む。クリスタはちょっと驚き、ルーファスはどこかホッとした様子でレイモンドを見ている。


(なんかこういうの、ちょっと楽しいかも?)


 レイモンドは思ったより楽しめそうな予感がして、微笑むのであった。



――1章完――






*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*


 エドワードによる(アホみたいな)恋愛作戦で、ルーファスは感情を覚えることが出来るのか? レイモンドは黒龍への復讐心を忘れることが出来るのか? そしてクリスタはルーファスと両想いになれるのか?

さらに、その先に待ち受けるものが……あるのだろうか?? 運命の恋やいかに!

 

 ということで、約51,900文字でした……思ったより文字数大丈夫でした。(色々端折りすぎて、最終的にはアレクサンダーやルーファスよりもレイモンドが目立ってしまったような)


 そして、ゴリマッチョの方の様子を見てから、2章を書く予定です。

 文字数ヤバイ! と思って途中で端折った所とか2章でちゃんと書けたらいいなぁ。

 再開したらまた宜しくお願いしま~す!

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【1章完結】珠使いクリスタ〜氷の王子と真紅の戦士に愛されて 〜 川埜榮娜 @sa-ka-na

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