第26話 恋愛をしましょう!――――そうだ恋愛をしよう!
「なっ、何を言ってるんだ! クリスタ、それは駄目だぞ!!」
シスコンのアレクサンダーは、勿論反対の声を上げる。
「殿下、クリスタがこうなってしまっては諦めたほうがいいと思いますよ〜。それに、クリスタの言う事は一理あるかも知れませんねぇ」
「クリスタの言う事は一理あるとはどういうことですか?」
アレクサンダーが、信じられない事を聞いたというような表情でエドワードに問いかける。
「人間にとって、恋愛とは一番感情が揺れるものだと思うのです。ルーファスさんはまだ感情の表現が乏しいので、もし、このまま火龍になってしまったとしたら、色々不安なのですよ〜」
エドワードがそれっぽい事を説明する。それっぽいだけで確証も何も無いのだが……。
「いや、だからってクリスタと恋愛しなくても――」
「アレクお兄様! 私はルーファスさんと恋愛がしたいんです! 生まれて初めてこんな気持ちに……人を好きな気持ちになったんです!」
クリスタはその言葉で、アレクサンダーの胸をグサグサ攻撃しているとは思いもしない。
「いっ、いや、クリスタがそのつもりでも、ルーファスの気持ちが――」
アレクサンダーがルーファスの事を言いかけた時、ルーファスが自ら話しだした。
「俺は……どうすれば良いのかよくわからないんだが、レイモンドはクリスタの事が好きみたいだから、そんな事をするとレイモンドが悲しむかもしれない」
「おや? レイモンドさんがクリスタを好きだと、何故そう思うのです??」
「凄く大切そうなものを見る目で見ていたし、クリスタの事を話す時、いつも楽しそうだったからな」
「なるほど、他人の感情は分かるのですね〜。ふむふむ、そしてルーファスさんから見て、レイモンドさんはクリスタが好きだと……」
エドワードが考え込む様子を見て、アレクサンダーは嫌な予感がした。これはきっとアレクサンダーにとって嫌な結果が出てきそうだと。
クリスタは、エドワードとアレクサンダーが考え込んだ隙にルーファスに近付き、さり気なく逞しい腕に手を添えてこう言った。
「レイモンドさんの事は分からないので何とも言えませんが、私はルーファスさんと恋愛がしたいんです! 今の私はルーファスさんの性格などは知りませんし、ルーファスさんも私のことは知らないと思います。なのでこれから、お互いを知っていきたいのです!!」
クリスタはグイグイと攻めつつ、ルーファスに逃げられないよう、しっかりと、立派な上腕二頭筋を両手で掴んでいた。
「だから、それは駄目だと言っている!」
アレクサンダーが、突っ走るクリスタに思わず突っ込んだ。
「何故駄目なんですか? 恋愛は自由です!」
「くっ……」
可愛いクリスタが、兄離れするのが寂しいうえに(兄じゃないけど)、他の男に取られるのも嫌だし、心配だから……とは言えないアレクサンダー。
「そうですね〜。では、レイモンドさんも混ぜちゃえばどうでしょう?」
「は?」
「えっ?」
エドワードの突然の意味不明な発言に、アレクサンダーとクリスタは
(混ぜるってなんだ? 本当に嫌な予感しかしないんだが……)
アレクサンダーが不安そうな表情でエドワードを見る。
「クリスタの言う通り、恋愛は自由なんですよ〜。ルーファスさんは他人の気持ちは分かるみたいなので、クリスタが好きなレイモンドさんの行動や表情を見て、感情を学べば良いのですよ〜」
「いやいや、相手を増やしてどうするんですか!」
思わずアレクサンダーは、エドワードに突っ込む。(さっきから突っ込んでばかりだ)
しかし、エドワードはアレクサンダーに近寄り、小声でこう言った。
「クリスタは、全く引く気がないのですから、レイモンドさんも巻き込めば復讐どころではなくなりますし、ルーファスさんはクリスタには興味が無さそうなので、時間が解決すると思いますよ?」
エドワードにそう言われ、何を言っても聞きそうに無いクリスタを見て、アレクサンダーは納得するしかなかったが、どうしても心配が収まらない。
(こうなったら、さり気なく邪魔をするしかないのか)
シスコンなアレクサンダーはそう考えた。
「えーと、レイモンドさんも混ぜたら、恋愛してもいいってことですよね? ていうか混ぜるって何? ……ん? 3人で恋愛するって事ですか? どうやって?」
クリスタはルーファスと恋愛がしたいけど、そもそも恋愛の仕方が良く分かっていなかったので、3人で恋愛するというのが全く分からなかった。
「三角関係とかいうやつですね〜。クリスタはルーファスさんから好かれる為に頑張りますよねぇ? レイモンドさんもクリスタから好かれる為に頑張るでしょう。そして、ルーファスさんはそれを見て感情の勉強をするのですよ〜。一石三鳥ですね!」
エドワードの発言に、クリスタはよくわからないけど、とりあえずルーファスに好かれるように頑張れば良いのか!(単純)となる一方、アレクサンダーはエドワードの無茶苦茶な発言と、本当に実行されそうな状況に、憂鬱な気分になるのであった。
*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*
久々に上腕二頭筋の文字を書いたら、何故か安心しました(*ノω・*)テヘ
そしてレイモンドそっちのけで話が進むわ、内容も無茶苦茶だわ……エドワードどうした?w
そしてわちゃわちゃしたまま次回1章最終話です!! まじか!!
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