短編の醍醐味ってこういうのだったのかな。

短編って割と身構えてしまいます。その世界観に入りこむ前に終わられちゃったり、遊びのないむき出しのストーリーにたじろがされたりと、伝えたいことに置いていかれることが多かったのです。だから、短編とは読むのに気合が必要で、ちょっと時間があるから読書でも、には不向きだと思っていました。本作を読むまでは。

本作は春の風のように穏やかに話にいざない、その世界にふんわり着地したかと思うと、突如度肝を抜き、「は?」「何ですと?」「そう、来るの?」「ん、そうだね……」、と見事にゴールに押し出してくれます。不思議な味わいの余韻つきで。

この緩急がたまりません。

そして一貫してネコちゃんをなでなでしているような、まったりと角のない語り口調。

素敵な作品を拝読させていただきました。

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