ほのぼのした語りや風景は童話のよう。だがそこは、病の木のある死神の世界

 記憶を失い、見知らぬ森の中で目覚めた、優しい少年ロミ。
 そんな彼を拾って、親切にしてくれたのは、死神のウィル。
 そして訳あり少年の、オリオ。
 のどかで美しいその場所は、なんと、死神の住む世界でした。

 ほのぼのした語りや風景は、ほっこりできる童話のようです。
 が、人間の命を刈り取る死神の植物園には、病の木が育てられているという、発想や設定がすごい作品。
 そして主人公ロミも、美しい病の幼木に魅せられていくのです。

 一見、平穏で温和な世界の下に潜む、人の生死観への問いかけに、答えはみつかるのでしょうか。
 読みやすく、価値観というものを考えさせてくれて、とても面白いです。
 ぜひ、おすすめします。

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