綱渡りからのすごい助走で三段跳びする小説(概念)

 元々この書き手さんはプロッター率8割5分〜9割5分の計画殺人鬼、設定厨、実際の本の5倍はプロットとか人物相関とかキャラ設定とか書いては北叟笑んでる(一部誇張)、そんな子なの。

 だが! だがしかし!
 今回この小説、冒頭からラストのオチまで何ら一切の安定感、安心感、そういうのが一切ない!

 ――不安。ええ、不安。不安しかない綱渡り感を読者に与える。ふつう小説で「この先どうなるか気になって寝れんかった〜」はあるけど「この先……どうなるか不安で……寝るのが怖かった……」ってのはなかなかないでしょ!? すごい不安感だったよ! この筆致で(あ、コレぜったいコケる)って思わせといてからに、いやそのままの(オイオイそんな設定盛り込むんかよもうスライダー見てよ! スライダー右! 右! もう終盤やぞ!?)って不安さらに煽ってだ、いや、もういい。英語とか異文化とか異世界とか異邦人とか異星人とかどうでもいい、エタるな。とにかく終われるところで終わって。頼むから。

 と、そんな不安焦燥不穏に駆られながらも作者全ッ然気にする様子もない。綱渡りのまま助走いや全力疾走いやマジ何考えてんの! 落ちたら死ぬよ! とハラハラしながらも



ほーっぷ、




すてーっぷ、




じゃーんぷ。




はい。


(「はい」じゃねえし「お利口だねえ」ってしねえし……すっごい緊張した……)

 何というか、いい意味でも悪い意味でも退屈しない小説です。ニトロ……心臓が……。そしてこれまでちりばめた要素を回収できるのってすごいよねー……よかった……じぬがどおもっだ。