四谷軒さんの作品はどれを読んでも、スーッとその世界に連れて行ってくれる。
歴史物が苦手で、時代小説はなかなか読むことがない私ですが、四谷軒さんの作品はその苦手意識を吹っ飛ばして物語の世界に連れて行ってくれます!
今作は織田信長親子と明智光秀親子の会話シーンで綴られていくのですが、なんだか手に汗握ってその場にいるような臨場感で読み進めました。
いろんな織田信長像があるし、いろんな明智光秀像があると思うのですが、この作品を読んで、私の中で明智光秀像ががらりと変わった気がしました。
ドキドキしながら本能寺の変の裏側に迷い込ませていただいた気分です!
物語の世界にトリップする面白さって読む楽しみそのものですよね!
まだお読みでない方は是非是非です!
本能寺の変の理由は、それこそ千差万別に言われています。
ただ、キーパーソンは信忠だろうとは思っていました。
いわゆる「三職推任」は信忠に対してではないかというネタを自分でも書いたことがあったのですが、本作では恐ろしく説得力のある形で、今まで誰も指摘しなかった根拠による「信忠将軍」の可能性が描かれています。
そして、それに対抗する光秀が推す「将軍候補」もまた、非常に意外で、かつ説得力があります。
信長の意図と光秀の想い、その対立の根本が何か。
正に奇想としか言い様のない強烈なアイデアに度肝を抜かれます。
少しでも「本能寺の変」に興味をお持ちなら、ぜひ、お読みください!