ソラを一舐め

青空一星

朝のソラ

朝、目が覚めた。

 ベッドと自分の温度がむず痒くなるくらい深くて身体が重く感じる寝起き、見た夢をとことん忘れるくらい気持ちよく眠れたみたい。ベッドの周りには書類やら服やらがくたばってて、溶けた飴でもかけられた気分になる。


 でも今日は空が見たい、なんだか無性にそんな気分。ここのカーテンからじゃ今見たい空はきっと見えない、直接見に行くしかないか。

 眼鏡は……いいや、多分使わないだろうし、今は外しておきたい気分だし。


 床の荷物達を踏んで、跳んで進んでく。もうずっとこんな部屋で過ごしてるから、少しつまづくくらいで越えていける。前にいるのはこの部屋にいくつかある扉のうちの、鎖とか錠とかを飾ってる重たそーな扉。まぁ別に、いつものスーツを着てるわけでもないしすらっと開ける、と直下型の廊下が顔を出した。

「やぁ久しぶり……でもないか。ぃよっと」

 廊下を落ちる。歩かなくたっていい、なんなら君の方から迎えに来てって言いたいくらい。もう私はそう決めたんだから。

 罪悪感の空気抵抗と怠くて重たい上半分が押し合いをする、けど、両手でちょいと漕いだら幾分早く落ちていく。

 そこまで長くない〜不〜 自由落下が終わって接地と同時に軽く跳ねたら扉は目先鼻先にある。囲う壁は古代遺跡の落ち着く色した石タイル。扉も見た目よりは重くない苔が生えてる鉄扉、今日はやんちゃになぐってなだれる。


 裸足が浮くほど頑固な石床。それが温和に変わったら、投げやり突っ込む鼻先は柔に床へと落っこちた。あー、もうここで寝ていたい……けど、ここを味わうにはまだ足りない。部屋の中央にあるそれを見るために、重たい頭を持ち上げた。



 あおのそら 飴玉みたいに丸くて、今にもここからこぼれ落ちそうなそれは、内にそらを抱えてる。


 部屋の壁はさっきと同じの石タイル、だけどあのそらに照らされたから、緑の麗草でも生えてきそう。

 そらが部屋中を染め上げて、いつの間にやら起きてた身体は隅々までそらに澄んで末端部まで緩やかになる。今は太陽も一緒にいるんだ。


 そらまで駆け寄り両手に掲げる。眼鏡が無いからそらはよく見える。その広くて大きい一景なら、ぼやけて見えても透明なまま。まったくもう、こんなに好きならもっと身近に置いとけばいいのに……。それだと毎日寝ちゃうから駄目か。


「ふふ、

 さて拝んだ事だし今日も行こうか」


 そらを宙にはなって部屋を出る。そらの玉は定位置に戻るのが常だからこれでいい、戻らなくなったらその時だから。


 直下型の廊下は直下って名付けたわりには上る方が早い。ひょっ、と跳んだらもう上に着く。大切なのは跳んだ先で頭をぶつけないようにすること、今日は大丈夫だった。


 開けっ放しだった扉を閉めると、ガチャリと後ろで鍵が鳴る。それを合図に眼鏡を取ってスーツを着て身仕度を調えて部屋を整頓して、辛くないくらいに済んだらなら準備良し。




朝、扉を開ける。

 眩しい太陽に青と白!混じった清しい空がある


靴底カッカと陽気に鳴らし、「今日も真っ直ぐ頑張るぞー!」

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