第10話
急に呼吸ができるようになり、高井は陸地に横たわっていた。
「陸地?!俺は助かったのか!神様ありがとう!感謝します!」
ぜえぜえ息を吸いながら体を起こし、足の辺りに違和感がありそこを見ると、両足首が頑丈そうな鎖につながれている。
辺りを見回すと、そこはマンションの一室程の広さで、目の前には格子があった。
身につけている衣服は、ボロボロで異臭のするつなぎの上下だ。
「ど、どういう事だ…?ここは一体…」
部屋の隅に、様式の便所と小さな手洗い場、ひび割れた鏡が見えたので、高井はそこに近寄った。鎖がジャラジャラ鳴ったが、その鎖は手洗い場に届く長さではあり、ホッとした。
鏡の前に立つと、そこには見知らぬ男の顔があった。
「こ…これは…まさか…」
驚愕しながら、自分の顔をペタペタ触っていると、背後から格子のドアの開く音がして振り返る。そこには、軍人のような恰好の男が二人いた。
「〇▽◇■&%$#!」
「&$%#!」
その男たちは、高井の聞いた事もない言語で怒鳴り散らした。
「まさか…俺は…異世界転生したのか…?」
軍人のような男たちは、高井を指して何か言っているが、高井には内容がさっぱり理解できなかった。
彼はこれから、言葉から何から何まで分からない世界で、しかも牢獄のような場所で一人、余生を過ごすのだろう。
「こんな事なら、死んだ方がマシだった…」
がっくり項垂れる高井を、男たちは何か言いながら数発殴る蹴るした後、帰って行った。
牢には高井のすすり泣く声と、体を引きずる音、そしてその度に鎖の鳴る音だけが響き、他は何も聞こえない。
異世界転生したら、奴隷だった~こんな異世界転生は嫌だ! めへ @me_he
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