第5話 躍進✨

「フミヤはおらんぞ。大学の寮に帰ったぞ」

「えー、いつ戻って来るんですか?」

「さあな、それより土産は?」

「お兄ちゃんたちが買って来てます」


 最初、師匠の分も買おうと思っていたらお金が足りなくて買えなくなった。ヨッシーのミオママのも、バレエのレッスンで行けなかったオトちゃんにも買って帰ろうと思ってたんだけど。ママが買うからいいってことになって。

 遼平兄ちゃんにはルナ計算出来ないのかって言われ、出来るよってママに借りたスマホの電卓叩いたら呆れた顔されちゃった。


「それは? わしのはないのか?」

「これはフミヤさんの分です」


 ルナが胸に抱える白いリボンのかけてある水色の箱に、道場主の目が釘付けだった。

 それを見ていた浬先生が笑いながら、 


「お父さんたら、若い子を困らせないの。遼平君たちにもらったお菓子があるじゃないの。ルナちゃん、フミヤの机の上に置いておいて、ありがとね」

「フン、いつ帰るかわからんぞ」


 ルナは弾むような足取りで奥の部屋に向かった。





 鳴かず飛ばずだった遼平が都大会の剣道の試合で優勝し、全国大会に出場することになった。

 ルナの馬の一件以来、自分に自信がついたのか向かう所敵なしだった。

 道場主は誉めはしないが、


「そんなもの当たり前だ。わしが教えているんだからな。今までがおかしかったのじゃ」


 剣道場に響き渡る声で言った。


「先生、もうちょっと声を落としてください」

  

 一平が声を忍ばせる。


「おお、一平か? んっ、おまえがルナちゃんの父親だったかいのお。何だか、うちの孫のような気がしてな、あの子はいい子じゃ」






「そのトロフィー、自分の部屋のベッドの上の棚にでも置いといて。この辺に置かんといてね」

「地震が来たら、頭の上に落ちて危ないぞ」

「やったら本棚にでも……」


 言ってしまってから、一平とナオはやってしまったという顔をした。


「パパもママも、もうちょっと喜んでよ。都大会で優勝したんだよ。トロフィー邪魔なの? 先生のところでは賞状は額に入れて壁に飾ってあって、棚にはトロフィーがずらっと並べて置かれているというのに」

「おお、そうだ先生の所に持っていけばいい。お陰様で優勝できましたと言うんだ」


  一平はちょっと考えて、


「酒を添えてな。ルナに持たせるか。あっ、子どもに酒を持たせるのはまずいか。よし、僕も一緒に行こう」

「それなら、うちも行ってみたい。時代劇みたいなお家」

「ちょうどいいかもしれない。先生がナオさんに一度会いたいって言ってたし」

「キャッ、うち何着て行こう」

「ナオさんは何着ても素敵だよ」


 遼平はそっと立ち上がり自室に戻った。





     【了】






🏠最終話、皆様のおかげで無事に終わらせることが出来ました。

ありがとうございました。

またすぐにお目にかかります🎵



『🏠一之介ミラクル』に続きます


https://kakuyomu.jp/my/works/16817330665700239102/episodes/16817330665700647010


よろしくお付き合いください🎵






 


 

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12🏠遼平の快進撃 オカン🐷 @magarikado

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