物語を紡ぐ人たちに響く物語

学校でぼっちな生活を送るヒロインの莉奈ちゃん。

彼女には同級生や周りに秘密にしていることがあります。
それは小説を書くこと!
夢中に打ち込めることがあるって、とっても素敵なことです。
でもどうも、そういうひたむきな子をからかう人たちって一定数いるんですよね。
昔、書いていた小説を取り上げられ意地悪をされた過去があり、莉奈ちゃんは心に傷を負っています。
せっかく書いた小説もコンテストに送っても一次選考を突破できませんでした。
これは心が折れます。もう、共感の嵐です。
一生懸命に書いた物語は作者にはとっても大事なものです。
そして、莉奈ちゃんは書くのをやめることはしませんでした。

ある日、彼女の前に渥美くんというバスケ部男子が、ピンチを颯爽と助けてくれるようになります。
どうやら渥美くんは本も好きな様子です。渥美くん、莉奈ちゃんともっと話したいとか言ったり、ケガの手当をしてくれたり……。
渥美くんはまるで王子様のように優しくて、莉奈ちゃんに酷い態度をとるクラスメートには毅然とした態度で撃退してくれます。かっこいい!
前半は渥美くんと莉奈ちゃんの仲良くなっていく姿にほっこりとした気分や胸キュンをしていたのですが……。
なんと、莉奈ちゃんの幼馴染みの歩くんが転校してきて、一気に騒がしくなります。

学生の等身大の悩みやうっすら漂う恋心、それに夢を持っているからこその葛藤……。

作者様の込めたメッセージや渥美くんや歩くんが莉奈ちゃんに掛ける言葉に励まされ大切さも感じます。
渥美くんたちの優しさに胸が打たれました。

きっとすべては無駄じゃない。物語を紡いで、届く思いがあります。
それはアマチュア作家が書く物語だって、今、真摯に向き合って書いている小説は誰かの心に響きます。
そんな風に思わせてくれる素敵な物語です。

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