第3話 海辺にて


元の生活に戻りたい?

突如俺の耳にそんな言葉が聞こえる。


砂浜には俺一人しかいない。

「……は?」


元の生活に戻りたいんじゃないの?


「…何処から俺に話しかけてやが『ここさ!』る?」

気づけば視界いっぱいに、にこやかな男の顔があった。


「!??」

俺が反射的にで飛び退く前に肩をガシッと両手で抑えられ思う様に動けないような体制に持ち込まれた。


「やぁ初めまして!君も周りの人達から見えなくなってるようだね?」

「離せ、……君も?」

肩に置かれている手から身を捻り脱出し、尋ねる。

「うん、君にも現在進行形で起きているこの現象は世界各地で起きてるものなのさ!」


「じゃああんたも?」

「うーん?いや?僕は...魔術師って奴だよ」

「何言ってんだ?...と言いたいがこんな現象が起こってる時点でか?」

「おお、飲み込みが早くで僕はとても嬉しいよ、僕は四川よかわ ながれって言うんだ、魔術師の中でも優れているから君のような周りから認識されなくなってしまった子達を救出する任についてるよ」


おどけたような声のトーンでケラケラ笑いながら自己紹介をする男の名は四川 流と言うらしい。まじまじと見てみると、

身長は俺と同じくらいだから173〜175センチ位だろうか?

髪は眉毛の1歩前位で切り揃えられておりサラサラ。

服はだいぶ厚着で夜の海岸沿いと言えど少し暑いとすら言える分厚いフード付きの上着を着込んでロシアにでもいるんか?そんな格好をしている。

じっと観察をしてると

「そんなに魔術師が珍しい?ま、珍しいか!!」

僕らって秘匿されてるもんねー

と1人で納得したように笑う四川

「あ、そうだそうだ!ここで話すのもいいんだけどずっと海岸沿いのど真ん中で話すのもあれだし場所変えちゃおうか、寒いし」

四川はこちらに握手を求めるように手を伸ばす。


「でも、その前に」


四川が握手の形の手を変形させて指を鳴らすと近くの森に火の矢が5本飛んでゆく


放火でもするのかと叫びたくなったがその心配は次の瞬間杞憂だったことに気づいた。


火の矢から森を守るように大きい盾がはられていたのか透明な壁が少し揺れるのを感じただけだった。

「ん?あ〜これも入ってるな?これ」

四川がひとつ呟くと森の方から細い老人が出てきた。


「なぁにがじゃ?」

目を細め尋ねるように四川に聞く老人

「ええー?そっから聞いてたの?盗み聞きなんてダメだよ?おじいちゃん」

「黙れ、お前の長話に付き合う予定は無いんじゃよ、ほれ、そこな若人そのような外道の傍に居るのではなくこちらに来たまえ、そのようなものと絡んでも良い事ないぞ?」

「そんな事言わないでよー傷ついちゃうなー?」


「ちょ、ちょっと待て!さっきからわかんない事ばかり言いやがって、なに?そこのおじいさんは魔術師で、四川お前は追われてるのか?」

俺は思っていた事をぶつける事にした。そうすると

「ん〜?理解が早過ぎるのも考えモンだよね?」

「おぉ、良い理解力をしておる!魔力持ちであったのなら是非とも我が学園に招待したいものよのぉ」


俺は走って老人の方へ駆け寄った

「うーんと、多分こっちのがあってるよね、今俺にある選択肢の中じゃ」

「懸命な判断じゃ若人」


「あらら、振られちゃったね」

残念…

「じゃ、こちらも奥の手を出す事にしようかなー」

出る?

「うん、よろしくね」

了解


「アレを連れてきておるのか!」

老人はそういうとすぐに「撤退!」と叫び俺と老人の周りをベールで包んだ。


その直後カツンカツンと二度ほど老人のベールに何かが当たった音がして、確認すると銃弾のようなものが落ちているのが確認できる


銃弾を発射した存在は気がつけばそこにいて、真っ白な面をかしげながらこちらを観察していた。


「他の子達は止まらなかったのに………」


「………よりによって 白霧のホワイトマスクか」


「ご明察!」


四川は老人の言葉にいい笑顔で肯定した。

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トラブルから始まった、魔術師生活 @kaichouayatori

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