第55話 1.5.3 双子の精霊
北方の異民族によって中華を統一した大帝国。
各地方の軍閥の力が強大で帝国主義諸国によって援助された軍閥同士が対立し、内戦状態に陥っている。
国内外で民主化を叫ぶ声は大きいが当局によって弾圧されている。
民主化運動に加え華人による近代化国家樹立を叫ぶ民族主義も台頭して真帝国は苦しい局面を迎え衰退の一途をたどっていた。
☆
異世界。皇国首都東都。
「コウハ兄、一緒に帰ろー!!」
「アイナ様お待ちください!?走ると危険ですよ」
授業が終わると俺の2番目の彼女であるアイナがダッシュで抱きついてくる、それが日常の光景になっていた。
最初は生徒会副会長の普段の凛とした姿から考えられない変わり身から生徒から驚かれていた。
しかし、それも時間が経つにつれて段々と慣れていき、クラスメイトからああ、いつものかと微笑まれるくらいには日常の光景となっていた。
「ヴァレンタイン様、またスカイマーク君のところに……。お可愛いこと」
「ヴァレンタイン様、もうすっかり恋する乙女ですね」
クラスメイトにはアイナと交際していることは噂になっている。
ちなみにアイナだけではなく瑠夏、心海にも手を出していることになっている。
心海は現実世界では妹の凪波なのでありえないのだが……。
「アイナ、ちょっと離れろ。クラスメイトの目線が痛いから」
「えー、やだやだやだ。今日は瑠夏ちゃんがいないからコウハ兄と1日中イチャつくんだもん」
そう今日は瑠夏と心海が武人の会合で欠席している。
「クックックッ。いつ見ても仲睦まじいな、2人とも」
「苦笑。熱々カップルぶりにも慣れました」
「フェイリィとリオン!!」
「闇の者よ、一緒に深淵に戻ろうではないか」
「補足。フェイリィは一緒に帰りたいと言ってます」
フェイリィとリオン。
フェイリィはアイナの精霊。
リオンはエレナの精霊。
2人は双子の精霊だ。
アイナがエレナに親愛の証としてリオンを授けた。
特殊精霊であり雷属性の精霊だ。
フェイリィは茶髪で赤と青のカラーコンタクトをしており、中二病な言動をしている。
俺のことを闇の者と読んでくる。
聖剣はファイヤーアローでこれは火矢である。
リオンは茶髪で二字熟語を使う話し方が特徴的だ。
これは『デートアライヴ』というラノベの
聖剣はバスターソードだ。
2人はサンダーブラストというスキルも使える。
「提案。駅前のクレープ屋に行きませんか?」
「あっ新作のクレープが出たんだよね?」
「へー、クレープか、いいんじゃないか」
「クックックッ、我は血塗られたクレープが食べたいぞ」
「補足。フェイリィはイチゴクレープを所望しています」
それで俺たちは駅前のクレープ屋に向かった。
このクレープ屋はとにかく種類が豊富で味もおいしいと評判だった。
「私、新作のメロンクレープ頼もうと思ってたけどチョコバナナも捨て難いなー、悩む!!」
「我も血塗られたクレープが良いと思ってたが漆黒の闇が散りばめられたクレープも捨て難いな」
「熟考。私も新作のメロンクレープかと思ってましたが抹茶と金箔のクレープもおいしそうです」
俺とエレナだけがさっさと決めてしまったので2人だけになる。
「……ねえ、あんた」
「ん?なんだ?エレナ」
「この前のダンジョンのこと覚えてる?」
「ダンジョン……。一姫のインプレッション・シーカーのことか?」
「違うから!!もっと大事なことがあったでしょ」
「もっと大事なこと……?」
「あんた鈍すぎるわよ。ほら、キングスライムの件よ!!」
キングスライム。
ああ、キングスライムに女子たちが衣服を溶かされた事件か。
それと同時にエレナの裸が目に浮かんでしまう。
エレナも瑠夏やアイナにも負けず劣らずの豊満な身体をしていたな……。
「あんた、何顔赤くして……。あっもしかして今、私の裸思い出したの!?」
はい、そうです。図星だった。
「もうっ、これだから男子は……。コホン、本題に入るわ」
「本題?」
「私の裸を見たってことは『責任』取ってよね。……私の初めてだったんだから」
「責任?それってつまり?」
「だーっ!!本当鈍いわね、あんた!!私としては本当に非常に不本意なんだけど特別に私とけっ」
「何を言おうとしているのかな、エレナ?」
笑顔のアイナだった。
笑顔だがなぜか恐怖を感じる圧を覚えた。
「す、すみません、アイナ様。出過ぎた真似を謝罪させてください」
「分かればいいのです、エレナ。エレナが泥棒猫になったのかと思いましたよ」
「あはは……」
責任?泥棒猫?
俺はクエスチョンマークでいっぱいだった。
クレープを食べた後、俺たちは腹ごなしに模擬戦をすることになった。
詩音ちゃん対フェイリィ・リオンの双子コンビだ。
「ハァァァッー!!」
「「タァァァッー!!」」
1対2という数の差があるので形勢はこちらが不利だった。
だが詩音ちゃんは善戦していた。
リオンと剣戟を交わしながらフェイリィによる弓矢の猛攻撃を捌く。
フェイリィとリオンは双子ということで息ピッタリだった。
普通ならリオンにフェイリィの矢が当たってもおかしくないのだがリオンはそれらを全てかわしていく。
「フェイリィ!!」
「リオン!!」
「「クロススキル!!ソードレイン!!」」
「詠唱。我が光の剣よ、火の矢と一つになって」
「我が火の矢よ、光の剣と一つになって地獄の業火を解き放て!!ソードレイン!!」
クロススキル、ソードレインは空間に無数の光の剣と火の矢を魔法陣から出現させ解き放つスキルだ。
その攻撃力はまるで空爆のようで強力だった。
「キャァァァー!!」
詩音ちゃんの敗北だった。
「一姫、インプレッション・シーカー使えるか?」
この模擬戦は一姫も見学していた。
「たぶん使えると思う、ご主人様」
「みんなに見せたいものがある。一姫のユニークスキル、インプレッション・シーカーだ!!」
「あー、ミノタウロスを倒したっていう噂のユニークスキルだよね」
「ほう、かの魔物を倒したスキルか、興味が湧いてきたぞ」
「一姫、インプレッション・シーカー、ソードレイン!!」
「了解。インプレッション・シーカー……ソードレイン!!」
そうして一姫はフェイリィとリオンが発動したクロススキル、ソードレインをそっくりそのまま発動した。
「ええええ!?」
「驚愕。クロススキルもコピーできるのですね」
「このようにインプレッション・シーカーは対象のスキルを高速で検索、高速で学習しスキルを模倣するんだ!!」
「コウハ兄、最強のスキルだね!!すごいすごい!!」
その後、フェイリィとリオンのサンダーブラストをインプレッション・シーカーで解析、模倣した。
スマホと歩む異世界英雄譚〜皇帝家から追放された俺、スマホが覚醒しS級スキルを習得、成り上がります〜 藍原コウ @aiharakotaro
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