第4話 二人目のおっちょこちょいさん

おかあさんの言いつけをやぶることにしました。

くつを捨ててしまうことが正しいなんてことは、

どうしても、なっとくがいかなかったのです。

でも、わたし一人ではこうばんに行くことはできません。

それでも、捨ててしまうよりは正しいことだと思って、くつを橋にもどそうと思ったのです。わたしは走って、走って、走りました。

帰るのがおくれたら橋に行ったことが

おかあさんにバレてしまうような気がしたからです。

そして、息もたえだえ、ようやく橋についたのです。

その場にねっ転がりたくなりましたが、そうはいきません。

帰る時間にまにあわなくなってしまいます。

なんとか力をふりしぼって、橋の中央に、くつが落ちていた場所に、目をやりました。

わたしは思わず、あんぐりと口をあけてしまいました。だって、そこには、さっきまではなかった黒いスニーカーが、かかとをそろえて落ちていたのですから。

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