第6話 お参り
とは言っても、わたしにも学校というものがあるのです。
朝から夜までここにいることはできません。
なので、これからは帰り道に、ここによることにしたのです。
というわけで、次の日です。まだ落ちています。
次の次の日です。まだ、仲良く落ち続けています。
ですが、次の次の次の日。
その日は、雨でした。朝からではありません。
二時間目ぐらいからでしょうか。それぐらいの時から、ざあざあとふってきたのです。雨はすきなのです。かみなりがならなければですが。まどしたたるしずくから外を見るのがすきなのです。
なので、いつもならわくわくしてしまうところなのですが、と言うかしていたのですが、あのくつ達のことを思い出してそうもいかなくなったのです。だって、野ざらしにおいてあるのです。
サンダルはともかくスニーカーは水にぬれて大変なことになってしまいます。
いえ、サンダルだって風で飛ばされてどこかにいってしまうかもしれません。
一度でもそう考えてしまうと気が気では無くなってしまって、帰りの会が終わると、みよちゃんとせいちゃんのさそいを断って、いちもくさんに橋に行ったのです。
学校を出たところでもう雨は止んでいて、さいわいぬれねずみにはならなくてすみました。
ですが、橋には水たまりはたくさん出来ていて、足のふみ場もありません。けっきょく、ぬれるのはかくごしないといけないようです。
そこから、いつもくつが落ちているところに目をやります。サンダルとスニーカーが見えました。よかったです。まだ、風には飛ばされてはいないようです。
かんねんして、わたしは、パシャパシャと水の上を走ってくつ達の前まで行きました。思いのほかスニーカーはよごれていなかったのですが、サンダルの方はどろとかなにやらでけっこうよごれてしまっていました。
なので、テッシュで拭くことにします。最初によごれを落とすために逆さにすると、ぽたぽたと水が落ちました。
さて、お次はスニーカーです。スニーカーはどうせぬれているので、おかあさんがやっていたみたいに、しこたまテッシュとかいらないプリントとかをまるめてつめこんでやろうとしたのです。けれど、「あれ?」思わず声を出してしまいました。
だって、黒いスニーカーはまったくぬれていなかったのです。手をくつのおくにつっこんでみます。やっぱりぬれていません。
あんなに大雨だったのに、不思議です。
でもまぁ、ぬれてよごれているよりはぜんぜんいいのです。わたしは立ちあがります。明日はくつを風で飛ばされないようにしようと決めて、家に帰りました。
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