離れていても心はひとつ。涙雨に包まれた奇跡。

こんな短い作品なのに、まさに感動の大作です。

この作品は、母と娘が父の死後にオーロラを見に行くというシンプルなプロットですが、その背景には二十年前の離婚という悲しい出来事があります。
父はオーロラの研究に情熱を注ぎ、母は妊娠した自分と子供のために日本に帰るという選択をしました。その結果、父と娘は一度も会うことができませんでした。作者は、この親子の心の葛藤や後悔を丁寧に描き出しています。

作品の見どころは、最後のオーロラのシーンです。オーロラは自然現象なので、必ず見えるとは限りません。

しかし、この作品では、オーロラが父の存在や思いを表現するかのように描かれています。思わず、魅入られてしまいました。オーロラが雨に変わって降り注ぐという現象は、科学的にはありえないことですが、この作品ではそれが奇跡的な出来事として受け入れられます。
母と娘は、オーロラの雨を父の涙と感じて、父に声をかけます。これは、親子が初めて会話する場面でもあります。作者は、オーロラを使って親子の感動的な再会を演出しています。見習いたくなる映画のひとコマのような情景です。


ありがとうございました。