003 虐げられる少年
小さな川から大きな川へ合流し、ポツポツと小さな集落が伺える様になった。
更に進んでいくと一際大きな集落があった。私は門番と簡単なやり取りを済ませこの時代にしては大きな都市へたどり着いた。
中では元いた集落とは比べ物にならない程しっかりした建物が沢山あり、大勢の人が道を歩いていた。
勿論、この時代基準の話である。
私は集落の中を探索する。定住してる人間はこの場から離れることは無いので魔神教の人材に向かないだろう。
できれば、この年に未練のない適当な人材がいればいいのだが。
そうして暫く歩いていると、やや入り組んだ路地で傷だらけで倒れている少年がいた。
年は5とか6とかだろう。
ちょうどいいかもしれない。
彼を治療して魔神教徒にしよう。
といっても、本当の意味で魔神を信仰させるわけではない。魔術師、魔法師の中でも優れた法術師に育て上げ、事件を装って各国に、というか全人類に魔神という存在の脅威を知ってもらう。
そうだ!人工的に魔神の配下みたいなのを作り出して、脅威を示すのも良いかもしれない。術式の組み合わせは魔術師の十八番。
複数の術式を組み合わせて擬似魔神なんかも作れば人類に魔神の脅威を感じてもらえる?
何なら、魔神教と対を成す聖神教も一緒に作っちゃおうかな。神の御使と魔神の使徒両方を魔術で再現する。
この時代の魔術、魔法レベルは現代とは比べ物にならないほど原始的だから、魔術であると悟られない様に脅威を演出する事も可能かもしれない。
まあ、その為にも研究やら何やらしなければいけないし、それは一旦、置いておいて今はこの少年の治療に専念しよう。
使うのは【
魔力を用いて体内組織を修復を促し、場合によっては造血や栄養素の創造も行う。
肉体が正常かどうかは【
すると5分もかからず彼の身体は傷もなく栄養失調もないこの時代としては異例の健康優良児となった。
彼は此方が危害を加えてる訳ではないと理解していたので治療中、暴れる事もなくスムーズに治すことができた。
「あなたの名前は?」
「
少年はやや困惑気味に自分の名前を答えた。
私が何のために助けたのか不思議でたまらないのだろう。
「貴方の両親は?」
「いない。」
これは...人材ゲットの予感がする。
「どうして傷だらけで倒れていたの?」
「僕は...いらないから。」
何とまあ意味深な回答である。
とは言え、親はおらず何らかの理由で虐げられていることは分かった。
「ねえ、貴方。魔術師になる気はない?」
不老の魔女の旅 pengin114 @kouteipennginn
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