第4話 9月30日

目の前に箱がある。

昨夜、ゴミとして捨てたはずの箱がある。


それは、どこからともなく部屋にやってきた。

中に何が入っているのかはわからない。

箱の事を書いたと思わしき紙切れには、俺の『大切なもの』と書かれていた。


箱を目の前に祐介は思案していた。

箱が不気味なのは間違いないが、誰がどうやって部屋の中にこの箱を入れたのか、何もかもが謎に包まれていた。


そして、いくら考えてもらちがあかないと、箱の中身を確かめて見る事にした。

その方法、いたってシンプルなものであった。


右手にカッターナイフを持ち、左手で箱を固定し、ひとおもいに箱を切り開くものである。

しかし、驚いたことにそう簡単には行かなかった。


いざ、箱にカッターナイフを突き立てようとすると、不安や恐怖といえる思いが込み上げてくるのだ。


妙な感覚に戸惑ったが、それらを必至に抑え箱にカッターナイフを突き立てた。


その瞬間、彼の胸に壮絶な痛みが走り、彼は悲鳴とともに気を失った。


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