第2話 9月28日

朝、目が覚めた祐介の手には見覚えのない箱が握られていた。

手に持った感触としては、中身が入っていないかのように重さを感じない。しかし、軽く振るとカラカラと高い音がする。


試しに開けてみようとしたが、不思議なことにどこにも蓋と思わしき箇所がない。

それどころか、箱としてのつなぎ目が見当たらず、はじめから四角の物体として作られていたように見える。


不思議に思いつつ、二日酔いで痛む頭を動かして昨夜のことを思い出す。

そして、その箱は帰宅直前に頭上から落ちてきたことを思い出すと、祐介は玄関へと向かった。


すると、玄関には1枚の紙切れが落ちていた。

紙切れを拾い上げ、よく見てみると裏側にこう書かれていた。


『これは貴方の大事な物です。壊れやすいので大切に扱ってください』


訝しげにメモを見ていると、突然部屋の中で大きな音がした。


それはスマホにかけていたアラームの音で、仕事のため家を出る時間を知らせるものだった。


祐介は紙切れを箱のそばにおき、慌てて身支度を整えて、仕事へと向かった。

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