箱の中
遊bot
第1話 9月27日
その日、日下野祐介(くさかの ゆうすけ)は、いつも通りの帰宅をした。
彼は平凡なサラリーマンで、中小に分類される食品会社の営業をしている。
職場はブラックというほどではないが、毎月のノルマを達成するため、県をまたいでの営業や昔ながらの接待があり、人付き合いが苦手な彼にとってはまあまあ大変なものである。
この日も、新たな取引先を開拓するために、慣れないお酒の席に参加し、酔と疲労を抱えた状態で帰宅したのだ。
そのため、彼の頭の中は眠気で支配され、周囲に気を配る事などできなかった。
特に、普段から何もない自宅玄関の前は……。
いつものように、玄関の鍵穴に鍵を差し、取っ手をひねって玄関を開けた。
その時だった、頭上から軽い音を立てて何かが落ちた。
それは、彼に軽い衝撃を与えはしたものの、特段痛みもなく床に落ちた。
意識が酩酊していたかれは、なんの気もなくそれを手に取り、家の中へと持ち帰ってしまった。
それが日下野祐介と箱の1周間の始まりだった。
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