2024/02/29の投稿・椿象との思い出(大学生編)
こんにちは。カメリアです。
今年はうるう年ですね。ただでさえ日数が少ないのに祝日が二日もある2月はなんとも忙しない印象です。1日増えたとて同じこと。
さてそんなバタバタした2月も本日で終わりということで、いよいよ私の恐れるあの日が近づいてまいりました。そう、啓蟄です。
啓蟄については、またその当日に思い出を語るとして、今日は、先日地下鉄に乗った時、緑の椿象が一緒に乗車していたせいで思い出した話を聞いてください。
椿象は、しばしば地下鉄に乗ってきます。
地上にあるバスの方が乗車率は高いものの、シーズンになると地下鉄にもそこそこ乗車してきます。
先日見かけたのは天井に張り付いていたのですが、過去、窓の内側にとまっていた
こともあるし、すでに踏まれて床で死んでいることもあるし、そしてちゃんと座席にいることもあります。
たぶん地上で人とか鞄にとまって、そのままくっついてきて、どこかのタイミングで離脱しているんでしょうね。
大学生の頃、地下鉄に乗って座ろうと思ってふと立ち止まりました。
座席シートが緑色だったので気づかずに座りかけたのですが、緑の椿象が座席にいました。中腰の状態でなんとか踏みとどまり、その席には座らず、1つ先の座席ブロックに移動して、念入りに座席を確認してから座りました。
車両を移ることも考えたのですが、その車両が降りるときに一番階段に近いので、
「なんで椿象のために階段から離れないといけないんだ」
という思いもあり、最悪踏まれてもにおいがとどかないだろうと踏んでその座席に座りました。
そこから、暫くはその座席に座ろうとしては別の席に座る人を観測して、その席しか周辺に空きがない状態になった時、一人のおじいさんが乗車されました。
おじいさんは一目散にその席に近寄り、まったく気が付かない様子で、どかっと座りました。
私含め、その席に椿象がいたことを見ていた数人が、うわ、と固まったのですが、臭いは特にせず、奇跡的におじいさんは踏まずに座ったようでした。安心したのもつかの間、ふとおじいさんが椿象に気づいたようなのです。
おじいさんはためらうことなく、手で椿象を払いのけ、向かいの席に座っていた女の人が
「きゃあ!」
と言って立ち上がりました。
彼女の足元に椿象が転がったからです。
女の人はちらっとだけおじいさんを見て(睨んだようにも見えた)、そそくさと車両を移りました。
私も、椿象との距離が少し縮まったので、移るか迷いましたが、後二駅で隣の車両は空席がなく、立ち上がれば立っていなければなりません。
その日は講義が多くあり、教科書もたくさん持っていて鞄も重かったし、できることなら座っていたい。
私は転がり落ちた椿象を注視しながら座り続けていました。
すると、何かを察した椿象はのそのそと私の方へ進み始めたのです。
まだ大丈夫。大丈夫。
そう言い聞かせながら、降りる一つ前の駅で乗ってきた人が、座っていた私の前に立ちました。そしてその肩には茶色の椿象。
前門の茶後門の緑。いや、正しくは横からにじり寄る緑ですが。
やむなく私はその席から逃げ出し、一駅分、重い鞄を持って階段から1つ遠ざかった車両で立ったまま乗車しました。
完全なる敗北です。
バスで負けたこともありました。
あれも大学の頃、秋口に新しく買って薄いピンクのAコートを着ていた日。バスの窓際の席に座っていました。
勿論シーズン真っただ中だったので座席は念入りにチェックし、天井、床にもいないことを確認して座りました。
その日は、秋の夕方にしては蒸し暑くて、気に入っていたAコートを着ていたら暑く感じる気候でした。だから、開いていたバスの窓から入ってくる風が気持ちよくて、開けたままにしていたのです。
もう、お分かりですね。この窓から侵入を許したわけです。
バスが信号待ちしている時、ぶん、という羽音が聞こえて私は悲鳴を上げながら見えない敵を払いのけようとしました。
敵の姿は見えないままでしたが、攻撃をしたとみなされ、憐れお気に入りのAコートの袖から嫌な臭いがしました。
洗濯したら取れましたが、そのシーズンはそれ以来そのコートは着れませんでした。
それ以来、換気目的で開けているのは重々承知していますが、私がバスに乗って窓際に座っている時は、そっと窓を閉めています。降りる時に開けていくので、その期間だけはどうかご勘弁願いたい。
ということで、今回はこの辺で。
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