条理のもとに下手にまとまっていないがゆえにこそ、良質な恐怖譚は背筋に染みとおるような恐怖の薫りを帯びるのだと思います。それがこうもするすると飲めてしまうのは、不条理の飲みこみにくさをギリギリで避けた絶妙な加減と、このリアリティある筆致ゆえなのでしょう。ただし飲み過ぎて、“その中”に触れてしまうことのないよう……。
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