巨大な蚕のような姿をした「当代様」と、その世話をするしもべのお話。
ホラー掌編です。閉塞的なムラ(あるいはイエ)を舞台に、人の業とその報いのようなものがみっちり詰め込まれた物語。
もう何から何まで心休まる要素がないというか、終始ねばつくような重苦しさを感じるところが最高でした。
中でも最大の魅力はやっぱり「当代様」!
芋虫やミミズのような形状の、何か大きくて真っ白い生き物。
その存在感というか生々しさというか、食事もすれば粘液も噴くという、その手触りのようなものにもう本当にゾクゾクします。
本来存在するはずのない、人や普通の生き物の域を超えた「恐るべき何か」。
その存在感を、文字を通して皮膚感覚として叩きつけてくれる快作でした。
物語そのものもがっつりホラーしてて素敵!