眺めるではなく、入り込む

この作品を読み始めて第一に思ったことは、文章の美しさです。

主人公の心、視点、感情の揺らぎといった部分がするすると入り込んでくる。そのため強い共感を覚えると同時に、まるで自分も登場人物の一人なのではないかという錯覚を味わえます。

冒頭だけを読めば、社会にどうしても適応出来ない人々の逃避と、それにより傷ついた心を癒やすための物語に見えますが、文章の端々に現れるのは情景に似合わない表現の数々。

タイトルと合わせて、今後、この物語がどう推移していくのかが楽しみです。