突堤

壱単位

突堤


 きょう、久しぶりにいってきたよ。


 むかしみたいに、コンビニでコーヒーと、サンドイッチ買って。

 ずうっと、座ってた。


 しばらく涼しかったんだけど、きょうはお日さま、強かったなあ。

 日傘、さしてさ。

 ずっと、座ってた。


 ああ、あのね、日傘を、買ったんだ。

 あなたがいつか、これ素敵だね、プレゼントしようか、って言ってくれたやつ。まだ、残ってたから。ふふ。あれ、不人気なんだよ。ずうっと、あれから、売れ残ってたもの。見る目、なかったね。あたしたち。

 

 東京は、きょうは、暑かった?


 海できえたひとに会いにくるのは、わかる。

 でも、なんでだろ。

 あたしは誰に会いたくなっても、ここにくる。


 いのちがあっても、なくても、みんな、ここに来れば、逢える。


 会えなくなったひとがでるたびに、ここに、くる。


 海がね、もうすぐ秋だからなのかな、深くてね、碧が、深くて。

 すこし波がおおきかったから、漁協のスピーカーがうるさくてさ。


 突堤。

 むかしみたいに、あなたに出会う前みたいに、ちいさな缶コーヒーと、ハムサンド。オレンジ色のコンビニで、買ってさ。

 日傘、さしてさ。

 あなたが好きだったいろの、日傘、さしてさ。


 東京は、楽しいところなのかな。

 東京で、あなたのよこにたつひとが、みつかるといいな。

 東京の、あなたのよこにたつひとは、素敵なひとだったらいいな。


 東京の、うみは、なにいろなのかな。


 むかしみたいに、サンドイッチ、そうだなあ、朝の九時くらいから、お昼すぎまでかけて、ちょっとずつ、食べたよ。もう、パンなんか、かさかさでさ。

 かさかさ、でさ。


 東京の、そらは、なにいろなのかな。


 ねえ。


 あたしを、覚えてる?


 優希より。


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