血で綴られた畸目小説

日本が没落し、世界が戦争と混沌の坩堝となって、毎年のように100年に一度の災厄が襲ってくるようになった。こういう時代になっても小説を書いたり、読む人がいるのは不思議でおもしろい。物語というのは宗教のようなものなのかもしれない。読むことも書くこともとらわれることだ。

この物語は不器用なふたりの神様が恋愛めいたことをするファンタジーのように読めた。神様ふたりは片方が神のままでもうひりは自分の世界を捨てて、人のふりをして神様に従う。
やがて、神様に従って人としての彼女は神様の度重なる気まぐれな試練に耐えきれず壊れてしまい、閉鎖病棟という転生機関を経て、ふたたび神様として世界を取り戻した。
一方、唯一の信者だった彼女を失った神様は、信者なき神様であることに耐えられなくなり、消滅してしまう。

文章はていねいに書かれていて読みやすく、すぐに読了できる。読む者の胸を刺す読後感も悪くなかった。

ただ、文章でもっと冒険してもよかったような気がした。