言葉の紡ぎ方がきれい

タイトルから想像するよりも内容に深みのある作品だと思います。
そして言葉の紡ぎ方がとてもきれいで惹き込まれるものを感じています。

失礼ながらこちらのタイトルを目にした時は「よくあるやつかな」と思いました。それでも読み始めたのは「犬と一緒」だったからです。犬好きなので。（犬好きとしても満足）

でも気が付くと最新話まで７０余話を一気読みしていました。最新話まで読んでしまったため続きが読めないことにがっくりして思わず更新頻度を確認してしまったくらいでした。（定期的に更新されているようで安心しました）


個人的な感想ですが、自分が飽きてきたと感じている異世界ものと異なり、この作品の主人公は思慮深く、短慮で直情的な行動をとっていません。
主人公にとって幸運な展開はあるのですが、そこへ行きつくまでに主人公の悲しみや不安などの心情が、読んでいて感情移入できるくらい深く描かれているので鼻につくこともありませんでした。

また、主人公一派をよく見せるための悪役的な中身の薄い登場人物も見当たりません。どちらかというと善良な人が多い作品のようですが偽善的な様子も感じられず、人間本来の善良さがにじみ出てくるような作風に穏やかに読み進めることができています。

正直に言えば、主人公含む主人公一家がチート級に能力が高すぎることや、日本からの転移で「食の改善」に乗り出していきそうな展開に、今後飽きがこなければいいけど…という思いもわずかに抱いていますが、それぞれに細かく説明される部分もあり今後の展開を楽しみにしています。登場人物の心情や人間性が深く、また紡がれる言葉もきれいなので、よくある材料が扱われていたとしてもこの作品の中では新鮮に読めるのではないかという期待が大きいです。