タイトルのイメージで引き返したら損をする良作

タイトルが表示された時、まったく読むつもりはなかった。
ああ奴隷で異世界でチート系のよくあるやつか、と思ったから。

ところが別の日にたまたま、何らかの誤操作でか、意図せずせず本文を開いてしまった。多分、よき巡りに導かれたのだろう。
何の気なしに読んでしまった。続きが気になってそのまま数話、読み進めてしまった。
そして我に返って一話から読み始めたら止まらなくなって最新話(446)まで一気読みしていた。

今は断言する。書籍化されたら紙媒体で買います。
そしてアニメ化もされるべきだと思います。この物語は読まないともったいない。
描写が丁寧なせいか脳内では既にアニメか映画を見たつもりになっています。

良心的なこの作者は限定SSをアップしてから一定期間で小話として読めるようにアップしてくれている。つまり全編無料で読めるはず。
にもかかわらずギフトを購入してしまった。アップされるまで待ちきれなかった。

「周囲に全力でおすすめしたい発作」を私に引き起こしたこの話のストーリーは
異世界ものというより神話っぽい。といってもその神話は現実とかけ離れたあり得ない話ではなく、人々の生活が続けば1000年後には神話になっていることもあるんだなとか、今知っている神話にも実は人の生活が背景にあったのだろうなとか、そういうことを思わせる。

印象としては透き通った、濁りのないナニカ。
人の世界には悪や欺瞞があふれていて、私たちは現実世界でもしばしば傷つけられるけれど、善良な人の日常の中の何気ない好意に救われることがある。
この物語にも人間にとっての悪はあるけれど、それよりも善良な、善良であることが日常な、優しさの満ちた世界感があふれている。
だからといって作られた平和でも見せかけのやさしさでも偽善でもなく
登場人物の心に傷がないわけでもない。

子どもの頃に出会った、通りすがりの優しい人を思い出させる。
また自分が誰かにとってそうであったこと、その事実を知らされ感謝された時の
嬉し恥ずかしむずむずとした思いも思い出さされる。そんな物語です。

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