『ボタニカル商店』はかつて最強の探索者パーティーだった夫婦が引退後に経営するアイテムショップ。探索者たちから『ボッタクル商店』と呼ばれ親しまれるこのお店の最大の売りは、アイテムをダンジョンの中にまで配達してくれること。
ドライなようでいて実は面倒見がいい旦那と、姉御肌で持ちこまれたトラブルをついつい引き受けてしまう女店主のキャラがとても良く、さらに秀逸なのが、普通ならスルーされるようなダンジョン探索の問題を丁寧に掘り下げているところ。大量の荷物をどう運ぶのが効率的か、どうやって光源を確保するのかといった部分にはじまり、なぜダンジョンに安全地帯のような空間が存在するのかという部分も論理立てて解説していく。こうして細かな設定の積み重ねが、ダンジョン内へのデリバリーという奇抜な仕事にしっかりとしたリアリティを与えている。
タイトルには配達記録とあるが、事件はダンジョン内で起きるばかりではなく、地上でも商売敵からの嫌がらせやギルドからの生存率向上の要請など、次々と厄介な案件が舞い込んでくる。それを一つずつ解決していく過程が実に楽しくダンジョン好きはもちろん、お仕事ものが好きな人にも勧められる一作だ。
(「ダンジョン珍百景」4選/文=柿崎憲)
いわゆるご都合主義でイージーになりがちな世界観の作品が多い中、リアリティ要素を所々に散りばめて ある意味で正統派と言えるローファンタジーな舞台での出来事を物語にした作品
ダンジョンものと言えば冒険や探索で成長して最強になるとか無双する、またはお店の経営で大儲けして成り上がる事に重きを置いている作品が多い中、主人公達は引退後のステージからストーリーが進んでいく。
ちょっとした掛け合いやミスで命をおとしてしまうダンジョンでのトラブルやヒューマンドラマが現実的でより一層 物語に没入できる。
果たして主人公は希望を達成できるのか?今後の展開に期待です。